スマトラ沖大地震・インド洋津波で100万人の雇用が喪失
―ILO推計

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2005年2月

ILO(国際労働機関)アジア太平洋総局は19日、スマトラ沖大地震・インド洋津波による災害で、インドネシア及びスリランカだけで100万人近くの雇用が失われたと推計。雇用創出に焦点を当てた災害復旧戦略文書(「地震・津波対応:再建、復興、復旧のためのILO提案:Earthquake-Tsunami Response: ILO Proposals for Reconstruction, Rehabilitation 」)を発表した。

被災による雇用状況に関する数値はあくまでも現時点での暫定的なものに過ぎないが、ILO推計によると、インドネシアの主要被災地では、漁業、小規模・プランテーション農業、未登録の小事業を中心に約60万人が生計手段としての雇用を喪失。失業率は、被災前の6.3%から30%以上に上昇している。一方スリランカの被災地では、漁業、ホテル・観光業、インフォーマル部門を中心に40万人が雇用を失い、失業率は被災前の9.2%から20%以上にも及んでいる。ILOは、迅速な援助と支援を行えば、2005年末までには、被災失業者の5、6割が生計手段の再確保が可能であると予測している。

戦略文書に盛り込まれた復旧活動の骨子は、1)雇用集約的インフラ再建、2)地域経済開発を通じた生計プログラム、3)労働市場の回復と緊急公共職業紹介事業の実施、4)災害孤児や人身売買の危険にさらされる子供たち、災害未亡人を含む女性などを含む弱者保護プログラム、5)フォーマル経済・インフォーマル経済の双方を対象としたセーフティネット及び社会的保護の整備――など。ILOは、一般会計予算を組みなおし、緊急支援活動に充当するほか、現在進行中の関連技術協力プロジェクトについても、その一部を被災地域・被災者を対象としたものに方向転換している。例えば、米国労働省は、児童労働関連プログラムへの助成金のうち、150万ドルをインドネシア、50万ドルをスリランカの被災地域・被災者支援に充当する方向で容認している。このほかILOは、各国政府及び多国間による各種支援の調整にも取り組む見込みだ。

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