職業性疾病(注1)の見過ごし問題

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2005年12月

11月19日付ニューストレイツタイムスの報道によると、保険医が適正な診断を行わなかったために、職業性疾病と認定されるべき労働者が治療や補償、障害者給付等の支給を正当に受けられていないことが明らかになった。

マレーシアの職業性疾病件数の推移を見ると(グラフ参照)、1995年には1,247件だったが、その後減少の一途をたどり、2004年は183件のみとなっている。人的資源大臣は、マレーシアの労働力人口に対して、職業性疾病と診断される件数が少なすぎると指摘し、必要な対策を取るよう指示するとともに労働者は正当な給付を受けるべきであると述べた。

これらの報道を受けて、労働災害補償制度や障害者年金制度の資金の運用と給付を行うSOSCO(社会保障機構)の保険医に対する国民的不満が高まっている。人的資源大臣も、保険医に対し、仕事の性質、つまり労働者が使用する機械や薬品、職場の騒音やほこりと疾病との関連性をきちんと確認すべきと述べた。SOSCOに申告され、職業性疾病と認められなかった例の多くは、主に騒音公害に関するもので、皮膚や肺、筋肉・骨格の疾病などもあるとされる。

人的資源大臣は、この問題への対策として、(1)中小企業で働く労働者に対する業務疾病・予防に関する情報の周知、(2)保険医に義務付けられている業務疾病に関する研修への参加促進――などを挙げた

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