外国人労働者の保護強化
―1955年雇用法改正へ

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2005年12月

11月13日付け国営ベルナマ通信によると、マレーシア人的資源大臣は同日、ILO条約第97号に則った外国人労働者の保護強化に政府が乗り出す考えであることを発表した。

ILO97号条約「移民労働者に関する条約」は1949 年に採択され、マレーシアは1964年に批准した。同条約は、批准した国の政府に対し、労働条件や社会保障などについて、外国人と国民の均等待遇を義務付けるものである。マレーシアはインド、インドネシア、バングラデシュ、パキスタンなどから主に建設業、プランテーション産業、レストランなど幅広い業種に多数の外国人労働者を受け入れている。これまで複数のNGOにより、国民と外国人労働者間の労働条件の格差や、搾取の問題などが繰り返し指摘されていたほか、外国人労働者から賃金の不払い等の不当な待遇についての不満の声が上がっていた。

このため政府は、現在会期中の国会で1955年雇用法の改正を通じて、特に外国人労働者が多いとされる建設業やサービス業に従事する外国人労働者の労働条件の監視の強化に取り組むことにした。具体的には、これまで使用者は、外国人労働者の雇用についての現況報告書は、指示があった場合のみ提出すればよかったのだが、今後は、定期的にマレーシア人的資源省の労働局へ報告書を提出するよう義務付ける。その際、雇用する外国人労働者数、報酬の額や社会保険加入の有無も含めた待遇についての報告を求め、労働局の監督官が執行状況について随時チェックを行う予定である。人的資源大臣によると、虚偽の申告がなされた場合には厳格な処分を行うとしている。

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