新内閣発足で期待される雇用改善

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2005年12月

ユドヨノ政権初の内閣改造が12月5日に発表され、新閣僚の就任式が7日に行われた。新労相には民族覚醒党からエルマン・スパルノ氏が就任した。同氏は元国会第5委員会(運輸・通信担当)副委員長で、今回が初入閣。

政治色が強いともいわれるエルマン氏の入閣だが、就任直後の抱負として、同氏は「労働法規、賃金、労使関係、外国への出稼ぎ労働者の境遇、移住政策などを改善したい」と述べた。また同時に「労働環境の改善が投資環境の悪化を招くことがあってはならない」と述べ、企業側への配慮も明らかにした(注1)。

悪化が続く雇用情勢

新内閣にとっても雇用機会の創出は、これまで以上に大きな課題となっている。2005年10月から石油燃料が値上げされ、企業、労働者の双方に深刻な影響を与えている。労働者たちは現在の最低賃金水準では基本的な生活をも維持できないとして賃上げを要求し、各地で交渉が難航している。来年1月1日から適用される州の最低賃金が決定している自治体は、12月15日時点で、全国33の半分以下の15州にとどまっている。引き上げ幅が最も大きいのはリアウ諸島州の36.45%、最も小さいのは西ジャワ州の9.65%である(注2

県・市単位で最低賃金を決定している東ジャワ州のスラバヤ市では、労働組合が最低賃金を2005年の月57万9千ルピアから150万ルピアへと3倍近くに引き上げることを要求。これに対して経営者協会は、要求に応じれば倒産すると主張している。

今後は、負担が増えた企業が事業活動を縮小・閉鎖し、労働者の解雇に踏み切るケースが増えることも懸念されている。中央統計局(BPS)によれば、2005年10月の失業者数は1160万人で、7カ月前から70万人増加した。2005年当初の失業率は10.26%であったが、2006年には11%を超えると推計されている。

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