大手スーパーマーケット・チェーンの反労組戦略が明らか
英国の大型スーパーのシェアの6割を大手5社(注1)が占めるなど、極度の寡占状態にある。1999年に大量仕入れによる安値販売を武器とする米国ウォルマートの英国進出以降は、各社間の低価格競争が激化、経営コストの削減が追求されてきた。そのような中、大手スーパーマーケット・チェーンにおける反労組的な経営方針が相次いで明らかになり、いきすぎたコスト削減策への批判が高まっている。
2005年10月、チャリティ団体「貧困との戦い(War on Want)」が、スーパーマーケット業界3位であるアズダ=ウォルマートの内部文書「なし崩し戦略(Chip Away Strategy 2005)」を入手したことが発端。同文書はアズダの管理職向けに作成されたものと見られ、職場委員が組合活動に割く時間を最小限に抑えるよう圧力をかけるなど、反労組経営の具体策が詳細に記されていた。
アズダの親会社である米国ウォルマートは、組合を結成しようとしたカナダの店舗を閉鎖するなど、反労組色の強いことで有名。全国都市一般労組(GMB)は、内部文書は労組を追放しようとするウォルマートの姿勢を明確に表していると激しく非難、全国ストの可能性も示唆した。アズダ側は文書の存在自体は否定しなかったものの、労組を無視する意図はなく、今後もGMBと協調していく経営方針に変わりはないとした。しかし、一部の店舗ではストライキを起こした従業員との争議が継続しており、今後も労組潰しのイメージを払拭するのは難しいとみられている。
他のスーパー・チェーンでも反労組の動き
大手スーパーマーケット・チェーン、Wmモリソンズは、流通センターの閉鎖を理由とする2500人の一時解雇についてローカル・レベルでのみ労組と協議する予定であった。これに対し、GMBと輸送一般労組(T&G)は大規模な解雇計画を立案する際の事前協議が不十分であると主張、モリソンズ側が解雇と引き換えに賃金と労働条件の引き下げを図ったとして共同戦線をはって、交渉にあたるとしている。
注
- 大手5社:テスコ、セインズベリー、アズダ、セーフウェイ、マークス&スペンサー
2005年11月 イギリスの記事一覧
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