慣例化する公務員スト

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

ブラジルの記事一覧

  • 国別労働トピック:2005年11月

社会保障院の公務員は、毎年1~2回の長期ストを行う習慣がある。2005年も6月2日からストに入り、サンパウロ市では73日間のストに及んだ。1983年に初めて長期ストを実施して以来、社会保障院の公務員ストは長期化が慣例化しており、1995年以降今年に至るまで計7回の長期ストを実施し、延べ日数は合計450日に達している。

ストの影響は、自費によって医療費が支払えず、政府の無料医療サービスに頼らざるを得ない貧困層など、年金支給や医薬品無料支給、出産手当て支給を必要としている人々にとっては深刻なものとなっている。特に保障制度の需要が最も多いサンパウロ州では、長期ストが慣例化しており、庶民の不満を募らせ、政治的圧力によって、要求を満たそうとする作戦が毎回のストで取られているが、結果苦しむのはサンパウロ州の利用者である。

ストの理由は毎回似たようなもので、――過去に目減りした分の給与補充、昇進プランの確立、職場設備の更新、年金生活者の退役公務員にも現役と同等の権利を与える、現在の公務員基本給を引き上げるなど――である。彼らは、公務員給与は2003年からの労働党政権期間中、インフレによる目減りで給料損失は約18%に達したと発表し、それを要求の根拠としている。

しかし、政府は長年にわたって、基本給を引上げる代わりに、業務遂行手当(GAT)という名称の手当を支給してきた。中級を例にとると、基本給は544.88レアルでも実際の受取り額は460%多い3,048.49レアル(約13万4,133円)となっている。政府は2006年1月から給与水準に従って、GATを9.7%~17%の間で調整するという回答をしている。しかし公務員労組は、この政府回答についても、基本給を上げないための小手先の工作であると批判、ストに入ったが、世論の非難に耐え切れず73日でストを終了した。どういう形で政府と妥協したか詳細は伏せられている。

関連情報