労使団体、外国人労働者の取扱いに関して合意
スウェーデン労働組合総同盟(LO)とスウェーデン企業連盟(SN)は8月30日、スウェーデンで一時的に操業する外国企業に対するスウェーデン全国産業別労働協約の適用に関し、傘下の産業別組織に共同で勧告することに合意した。賃金水準に関しては、産業別労使団体が合意できない場合、中央レベルのLOとSNが問題解決に当たる。
近年、外国企業が自国の労働者をスウェーデンに連れてきて、一時的に事業を行う例が増えている。LOとSNは2月以来、スウェーデンで一時的に操業する外国企業に対する産業別労働協約の適用に関する討議を行ってきた。労使団体は、スウェーデン労働市場における労働者の移動の自由を促進しつつ、外国企業およびその労働者に対する均等待遇を保証することを目指していた。今回の合意は、産業レベルの労使団体がLOとSNの勧告に従って労働協約を締結することにより、この目標を達成しようとするものである。外国企業はスウェーデンの使用者団体に一時的に加盟し、協約期間中はロックアウトやストライキを禁止する産業別労働協約の適用を受ける。他方、外国企業は協約に規定された賃金水準と労働条件を自国の労働者に対して保証しなければならない。
勧告は、LOとSN傘下の産業別労働協約に盛り込むべき外国企業に関する実際的な規則を含んでいる。産別労使は討議を行い、遅くとも10月31日までに新協約を締結しなければならない。
協約賃金の外国企業への適用に関して、産業別労使団体が合意できなかった場合は、LOとSNが問題を取り扱う。個別賃金水準の設定には、通常の労働協約における賃金原則が適用されるが、外国企業の賃金構造も考慮しなければならない。年金や労働災害などの社会保障制度に関する条件も適用される。
使用者団体は、外国企業に会員資格を付与した場合、直ちに関係するLO傘下の労働組合に通知する。その際、外国企業の現在の労働条件および外国企業が労働時間、休日賃金の計算方法、労働環境問題、職種ごとの賃金構造、社会保障制度に関する規則をどのように適用しようとしているかについての情報も併せて開示する。
外国企業は、スウェーデンに連れてくる自国の労働者に適用される賃金や労働条件が決定したら、直ちに当該労働者に書面で通知する。LO傘下の労働組合が要求した場合、外国企業は雇用条件の監視に必要な情報を開示しなければならない。LO傘下の労働組合の代表は、関係する職場に行って当該労働者の相談を受ける権利を有する。
勧告は、SN傘下の使用者団体に一時的(12カ月間)に加盟する外国企業に適用される。使用者団体に加盟しない外国企業に対しては、現行法規が適用される。その企業に労働組合がある場合、組合員は団体交渉の結果と同水準を要求することができ、企業はスウェーデンの労働組合による労働争議の影響を受ける。
専門職労働組合連合(SACO)と俸給職員中央労働組合連合(TCO)に加盟するほとんどの労働組合の交渉連合組織(PTK)も9月6日、SNとの間で同様の合意に達した。
SNは、労働協約の有効期間中、ストライキやロックアウトを禁止するなどの利点があるため、現在はより多くの外国企業が、スウェーデンの使用者団体の会員資格を申請するようになってきていると指摘する。
出所
- 欧州労使関係観測所オンライン(EIRO)
2005年10月 スウェーデンの記事一覧
- 2006年総選挙と労働政策
- 労使団体、外国人労働者の取扱いに関して合意
関連情報
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