2005年5月から最低賃金を300レアルに引上げ

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ブラジルでは、最低賃金の年間調整は、毎年5月1日から実施され、その前月に金額を決定する習慣になっている。労働党政権は2005年5月1日から、最低賃金を現行の260レアル(約86.67米ドル)を300レアル(約100米ドル)に引上げることを、2004年12月15日に発表した。これは労働党の最大支持組織であるCUT(統一労組)を中心にして、6大中央労組が、最低賃金を320レアル(約106.67米ドル)へ引上げるよう要求して、首都ブラジリアへデモ行進を行い交渉を要求したため、政府は予定より繰り上げて発表したものだ。

政府は、9.3%の調整であると、名目引上げ率を発表し、歴史にこのような高率引上げは例がないと強調した。また過去15年間続いた最低給料の実質目減りを中断するための、政府の多大なる努力の結果である。この発表を行った12月当日のドルレートが約2.80レアルであったために、この日のレートで計算して、2005年5月からの最低給料は100ドル以上の水準になると説明した。しかし、2004年のインフレを、6.5%と仮定すれば、実質8.4%の調整となる。各中央労組では、5月から300レアルとするこの政府決定に不満を持ち、2005年の初国会召集と同時に、国会で最低給料の審議を要求し、国会で2005年1月から320レアルへ引上げさせる運動を行うと予告している。

国会の予算委員会は、2005年5月1日からの新最低給料は、281レアル(約93.67ドル)と仮定して予算編成を行っていたために、政府決定通り300レアルなら、差額24億7000万レアル(約8億2333万ドル)の財源を作る必要が生じている。最低給料は、年金支払いの計算基準や、公務員の給料水準単位となっており、最低給料の引上げ率は直接連邦、州、市の年金や人件費予算に影響する。民間部門では、給料決定に、ほとんど最低給料は使っていない。なお、中央労組は、個人の所得税課税にあたり、免税範囲をインフレに応じて、変更するよう要求し、政府は2005年度から10%修正すると発表した。これまで政府は、免税限度を金額で表示したまま、何年も据え置いており、インフレを考慮しないことにより、実質的には免税範囲を縮小する手段を用いて、個人納税者から毎年非難されてきた。

参考レート

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