失業者数、7月としては東西統一後最高に
ドイツ連邦雇用機関が8月3日に発表した7月の失業者数は約436万人で、前月と比べ12万6500人増加した。対前年同月比でも6700人増え、ドイツ統一後の7月の数字としては過去最高を記録。失業率も10.5%と、前月に比べ0.3ポイント高まっている。ドイツでは4~6月のGDP(実質国内総生産)成長率が0.5%(速報値。年率換算で約2%)と2001年第1四半期の0.9%以来の高水準になるなど、景気回復の兆しが見えている。しかし経済指標の改善は「労働市場に対してはいまだに影響を及ぼしていない」(フランク・J・ヴァイゼ連邦雇用機関長官)のが現状だ。
今回記録した失業者数は、今年初めから採用された、職業訓練措置対象者をカウントしないなどの統計方法変更により、前年までの方法で算出した数字より低い水準となる。変更前の方法で算出した失業者数で比較すると、7月は前年同月に比べ8万2500人の増加になると連邦雇用機関は公表している。
例年、夏季は休暇シーズンであり、新規採用なども手控えられるため、失業率は上がる傾向にある。連邦雇用機関では、現在予想されている年率1.8%程度の経済成長が実現すれば、秋以降失業の水準は安定化し、失業者数はひとつの指標である400万人のボーダーラインへ近づいていくと見ている。
しかし、労働市場の需給関係を見ると、好転の兆候は現れていない。連邦統計庁が発表している5月の就業者数は3818万3000人で、前年同月比10万人(0.3%)の減少となっている。また、7月末現在、ドイツ全土の職業安定所に登録されている若年者対象の職業訓練ポストの求職者数は23万8000人余りで、これに対する求人数は7万6000人弱と、16万2000人以上のギャップが生じている。
7月の雇用データ発表を受けて、連邦経済労働省は、25歳未満および20歳未満の失業者数が減ったことなどをあげ、「過去数カ月間に固まってきた労働市場の安定性は危機にさらされていない」としている。一方、CSU(キリスト教社会同盟)党首E・シュトイバー氏が「連邦政府の失業に対する取り組みはあらゆる面で破綻している」と述べるなど、野党は政府の対策を強く批判している。
労使は、それぞれ異なる観点から雇用情勢を問題視している。DGB(ドイツ労働総同盟)は、長期失業者の増加を指摘し、「積極的労働市場政策が財政支出の強い抑制を伴ったことによる代償だ」(ウルスラ・E・ケーファー副委員長)と連邦政府が進める労働市場改革を批判。一方BDA(ドイツ使用者連盟)は「労働市場改革は喫緊に進め強化されなければならない」との立場を示している。
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