ハンガリー中央統計局(HCSO)が実施した労働力調査(LFS)および労働力会計調査に関する説明

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年4月

ハンガリー中央統計局(HCSO)は、1992年1月から労働力調査を実施している。この調査(LFS)は四半期情報を提供する世帯調査であり、その目的はILOが提案する概念・定義に基づく国際統計勧告に従って雇用・失業を把握することである。

国際統計慣行において、LFSは、労働力の移動(例えば、雇用、失業または不完全雇用)を包括的・体系的かつ同時に監視するための統計手段として広く利用されている。LFS手法は、分類における主観性を最小限に抑えるとともに(調査対象母集団は厳密な基準によって分類される)、調査を実施する国の特徴を尊重するフレキシビリティーを持たせようとしている。この調査において調査対象母集団は、いわゆる基準週(各月の12日を含む月曜日から日曜日までの週)に対象者が実施した経済活動に従って、次の2大カテゴリーに分けられる。

  • 経済活動人口(労働力)
  • 非経済活動人口

経済活動人口グループは、上記の基準週に就業者または失業者として労働市場に参入していた者で構成される。LFSで用いられる定義は、上述のようにILO勧告に従っている。これによって就業者に指定される者は、基準週に下記各項に該当する15~74歳の者である。

  • 仕事または事業(農場を含む)に従事し、賃金、利益または現物給付を受け取って1時間以上働いた者
  • 家業または農場での仕事に従事し、無給で1時間以上働いた者(すなわち無給の家内労働者)
  • 仕事に就いているが調査対象週に一時的に欠勤していた者

育児休暇を取得中の者は、その活動に従って分類される。徴収兵(軍隊)は経済活動人口と見なされ、例外は表の脚注に示される。

LFSの観点から見れば、以下に列挙する活動は労働活動と見なされない。

  • 別の世帯または機関のために無給で実施された労働(ボランティア活動)
  • 自己所有の住宅またはフラットの建築または修繕
  • 家事
  • 自家消費のための庭または自己所有地における労働

失業者とは、下記各項に該当する15~74歳の者である。

  • 労働しなかった者、すなわち、基準週に仕事に就いていなかったか、有給雇用または自営で(1時間以上)働かなかった者
  • 基準週の終わりまでの4週間に常に積極的に仕事を探していた者
  • 基準週後、2週間以内に仕事に応じられる状態にあったか、30日間以内に新しい仕事を開始するために待機していた者

積極的求職活動として、職探しのために民間または公共の職業安定所に接触する、使用者に直接応募する、広告を出したり広告に応じたりする、知人・親戚に頼むといった方法が挙げられる。

労働力(すなわち経済活動人口)は、就業者と失業者で構成される。定義された就業者にも雇用者にも該当しない者は、非経済活動人口と定義される。

受動的失業者(ILOの見解では「労働意欲を喪失した者」として知られる)とは、就職を希望しているが、仕事を見つけられないと考えているため、積極的な職探しをあきらめた15~74歳の者である。

LFSは、多段階の階層別に区別されたサンプル設計に基づいている。サンプリングの各段階は以下のとおり定義される。

  • 1次サンプリング単位(PSUs)は、調査対象地区(Eds)である。
  • 2次サンプリング単位(SSUs)は人口1万5000人以上の居住地にある住居だが、PSUsは居住地、SSUsはEDs、最終サンプリング単位はその他すべての事例の住居である。

LFSのサンプリング枠または住所登録簿は1万2775のサンプリング単位(Sus)で構成され、国内751カ所の居住地を対象とし、約62万6000の住所を含んでいる。LFSの四半期サンプルは住所登録簿から選ばれる。1万2775のSUsのそれぞれから、単純無作為サンプリングによって3つの住所を選ぶ。面接調査者が1カ月間に各SUで1カ所ずつ訪問する。労働市場の主要な指標は地域を代表している。

労働力調査(LFS)サンプルは基本的に住居のサンプルであり、それぞれのサンプル住居において、各世帯およびそこに居住する15~74歳の各人から労働市場情報を収集する。
LFS調査では、地理的単位、居住地の規模カテゴリー、地域の種類(都心、郊外など)の別にサンプル設計の階層別区分を定義している。

2.ハンガリー中央統計局の労働力会計調査

LFSが発表されるようになる以前は、年間労働力勘定(LFA)によって、ある国勢調査から次の国勢調査までの期間における総労働力を描写していた。

LFAは、その名のとおり、理想的な時期(その年の1月1日)の労働力供給と労働力需要とを比較する収支報告書のような勘定である。人口は、労働年齢人口と非労働年齢人口とを区別して、経済活動に基づいて考慮に入れられる。

データの出所:従業員数が20人を超える企業およびすべての政府系機関の1月1日現在の雇用に関する年次労働調査、LFS、国勢調査、納税記録・社会保障記録、企業登記簿。法人格を有する中小企業に雇用される従業員数は、推定に基づいている。失業関連データは、National Employment Officeの登録システムによる。労働力の出所:労働年齢人口、非労働年齢の活動的所得者および就業している年金生活者。

以下の表に、ハンガリーの雇用・失業データの国際比較を示す。

表1:年齢別・性別に見た就業率、16~64歳人口(%)
就業率 うち15~24歳
男性 女性 全体
ハンガリー 63.3 49.6 56.3 31.4
チェコ共和国 73.2 57.0 65.0 34.4
ポーランド 59.2 48.8 53.8 21.4
ルーマニア 68.6 58.2 63.3 32.7
スロベニア 68.5 58.6 63.6 30.3
スロバキア共和国 61.8 51.8 56.7 27.7
EU(15カ国)平均 73.0 54.9 63.9 40.7

出所:Karoly Fazekas - Jeno Kaltay (2003) Op.cit.: p. 229.

表2:年齢別・性別および失業期間別に見た失業率、2001年(%)
失業率 うち15~24歳 長期失業率
男性 女性 全体
ハンガリー 6.3 4.9 5.7 10.5 2.5
チェコ共和国 6.7 9.6 8.0 16.3 4.1
ポーランド 17.0 20.0 18.4 41.5 9.2
ルーマニア 7.0 6.0 6.6 17.7 3.2
スロベニア 5.4 6.0 5.7 15.7 3.6
スロバキア 20.1 18.6 19.4 38.9 11.3
EU(15カ国)平均 6.4 8.7 7.4 14.9 3.3

出所:Karoly Fazekas - Jeno Kaltay (2003) Op.cit.: p. 228.

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