ビルビル報告書:「新たな雇用契約形式のプロジェクト実施契約(長期CDD)を提案」

カテゴリー:非正規雇用労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年4月

今後数カ月のうちに、期間の定めのない雇用契約(CDI)と期間の定めのある雇用契約(CDD)の中間的な位置づけになる新形式の雇用契約(企業が期間を設定する「プロジェクト契約」)が労働法典に盛り込まれることになりそうだ。これはミシェル・ド・ビルビルル労働法委員長(ノーグループ人事部長)が2月15日にフィヨン社会問題相に提出した報告書にある最も目を引く(一方で、労働団体が激しく反対している)提案だ。「労働法典を有効にするために」と題する100ページほどの報告書は、さまざまな政治的・社会的感性を持つ8人の専門家で構成されたグループ(法律学者、弁護士、県労働局長、労働総同盟=CGTの元幹部など)が6カ月の協議を重ねた成果に他ならない。

何年も前からフランス企業運動(MEDEF)が求めていた「長期のCDD」(とりわけ、情報処理産業と研究部門の関心を引きそうだ)に全部の委員が賛成した。この雇用契約は、期間は定められていないが「内容は決定しているプロジェクト」のために採用される管理職や専門家が主な対象となりそうだ。部門協約が職種に応じて、その活用条件を定めることになる。報告書によると、最短期間、任務終了時の補償、対象労働者の業務内容およびカテゴリー、契約終了時の転職措置など、「義務的要素」を定めるのは依然として法律になる。

これは明らかにフィヨン社会問題相の仕事だといえるだろう。同相は昨年の9月23日にロレーヌ州ナンシーで開催された国民運動連合(UMP)議員大会で、雇用に関する一部の規定を弾力化するべきだと主張していた。したがって、失業率が9.6%に達しているだけに、シラク大統領が発表した「雇用対策動員法」へ「プロジェクト契約」が組み込まれる可能性もある。

一方で、ビルビル委員会は「この案が引き起こす可能性のある懸念」を自覚している。だが、「失業率が高く、30~40代の雇用が今後の大きな課題となっているだけに、実験を試みる価値はある」と見ている。この先駆的措置に加え、ビルビル氏は労働法典の整備を提案するとともに、団体交渉を強化することにより、団体交渉に労働法の簡素化と改善の中心的な役割を担わせたい考えだ。

「プロジェクト契約」について、MEDEFのセリエール会長は、適用が高技能雇用だけに限定されないように希望しつつも、導入に歓迎の意を表した。しかし、労働側の反応は冷淡だ。労働総同盟(CGT)のチボー書記長は、「この新形式の雇用契約は企業内で増え続けている不安定雇用を減らすことはないだろう」と報告書の結論に真っ向から反論し、民主労働同盟(CFDT)のシェレック書記長も「CDIが基準的な雇用形態であることは今後も変わらない」とその効果を疑問視した。FOのブロンデル書記長は一言、「雇用の細分化だ」と吐き捨てた。

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