失業改善に自信を示すフィヨン社会問題相

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年4月

シラク大統領は新年の挨拶で雇用最優先を確認したが、フィヨン社会問題相は12月31日の閣議の後で、「かねてから述べてきた通り、2004年には失業の減少が確認されるだろう」と強い自信を示した。同じ日に発表された11月の求職者数はわずかな減少(-0.2%)にとどまったものの、同相の楽観主義に揺らぎはない。

ダイナミックな人口の推移と女性の労働意欲が後押しし、フランスの労働人口は長期にわたって増加し続けてきた。国立統計経済研究所(INSEE)によると、1998年から2002年には、毎年27万人の新規労働者が労働市場へ参入した。ところが、この増加傾向は2003~2007年に減速化し、労働人口はもはや年平均で7万人程度しか増えていない。失業水準に直接的な影響を及ぼすこの持続的な減速化は、とりわけ人口の老齢化によるところが大きいが、「高齢」労働者の早すぎる引退と若年労働者の遅い労働市場参入というフランスの特殊な労働事情にも原因がある。

また、2004年には、別のファクターがこの動きを加速させる可能性がある。若い年齢(14~16歳)で働き始めた民間部門労働者の早期引退である。潜在的に対象となる18万人のうち、10万人ほどが退職年金受給権を活用して、退職する可能性がある。そして、INSEEによれば、労働人口の減少は自動的に、失業の安定化に寄与することになる。

政府は景気の回復もあてにしている。2004年の予測経済成長率は、政府によれば1.7%、INSEEは2%だ。経済がもはや雇用を破壊しないという経済成長率の分岐点は古くから、専門家たちによって、2.25%と2.5%の間に位置づけられているが、政府はこの分岐点が1%と1.5%の間にあるに違いないと見ている。ただし、社会問題相筋は、「1.5%未満の成長率だと、失業を減らすことはない」と微妙な言い回しを使う。

一方、若年者雇用制度の漸次的廃止によって縮小されているが失業の社会的対策も改善へ向けての足がかりとしては重要だ。そのために、政府は非営利部門で18万5000件の連帯雇用契約(注1)を、営利部門で11万件の雇用提案契約(注2)を用意すると発表した。

しかし、いつの場合も最も重要なのは「労働の有効利用」だ。同相は失業の低下を支えるために、企業負担の軽減、職業訓練改革、企業設立の支援、雇用復帰の促進などに加えて、既に発表された公共雇用サービス改革や労働法典の近代化にも期待する。

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