工業部門の7労働組合3.5%の賃上げ要求

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年2月

2004年3月末に終了する工業部門の現協約を改定するための交渉が12月18日に開始される。工業部門の7労働組合は、70万人を対象とする新協約1年目に3.5%の賃上げを要求することを9月末に決定した。7労組とは、金属、製紙、化学、林業、食品産業のブルーカラー各労組、ホワイトカラー労組の事務技術系職員労働組合(SIF)、土木技術専門職労組の大卒技術者協会(CF)である。工業部門の協約交渉は、他の部門の協約交渉の先駆けとなり、協約交渉ラウンドにおける相場を形成する。工業部門労組の要求の重点は、最低賃金の引き上げ、女性の賃金差別解消、労働時間短縮などにある。

工業部門では、1997年に協約交渉手続きに関する合意のなかで経済諮問委員会が設置されたが、同委員会の発表によると、工業部門の名目賃金上昇率は98-2000年には3.5%で、2001-2003年には3.8%と見込まれている。ただし、インフレ率の違いにより、実質賃金上昇率は過去3年のほうが98-2000年よりも高い。同委員会は、過去6年間のスウェーデンの賃金上昇率は他のヨーロッパ諸国よりも高かったが、スウェーデンにおける生産性上昇率は他の諸国よりも高いため、国際競争力の低下を招いていないと説明している。

使用者は、従業員に関連した費用はすべて賃上げの数字に含まれるべきだとしている。例えば、2003年7月1日以来、病気欠勤者に対する使用者の傷病賃金支払期間が1週間延長されている。この費用やホワイトカラー労働者の付加的年金の費用を賃上げと見なすべきだと主張している。労組は、これらの費用は賃上げに含まれるべきではないと考えている。

工業部門7労組が賃上げ方針を発表した1週間後、国立経済研究所は、経済の賃上げ余地は3.2%だが、団体交渉の結果、3.7%近くになると予想している。しかし、この数字は政府の施策による使用者負担や時短による使用者費用負担を含んでおり、純粋な賃上げ余地は2.1%のみである。同研究所は、スウェーデンの生産性上昇率が他のヨーロッパ諸国を上回る状況が長く続かない可能性があり、賃上げが失業の増加につながる恐れがあると労使双方に警告している。

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