ACTU、2004年に週26.6豪ドルの最低賃金引き上げ要求を表明
オーストラリア労働組合評議会(ACTU)は、2003年11月に2004年の最低賃金ケースにおいて週当たり26.60豪ドルのアワード賃金(注1)引き上げを求める方針を明らかにした。申請が認められれば、連邦最低賃金は時間当たりで12.50豪ドルとなる。
ACTUの説明では、パートタイム労働者や臨時労働者を含め約160万人の労働者がアワードに基づき賃金を得ており、その半数以上が時間当たり15豪ドルに満たない賃金で生活している。
オーストラリアでは所得格差の拡大が指摘されており、例えば1996年から2001年にかけて給与所得者の下位20%の週当たり賃金は3豪ドルしか増えなかったのに対し、上位20%は109豪ドルも増加している。ACTUは、アワード賃金引き上げが所得格差拡大に歯止めをかけるための有効な手段であると主張している。
同時にACTUは、最賃引き上げが雇用や総賃金コスト、インフレに与える影響は少ないとして、連邦政府に対し低所得者の生活水準向上のためにもACTUの主張を支持するよう求めた。
これに対し、使用者団体は、要求額が大きすぎるため受け入れられないとしている。
連邦労使関係委員会は、2004年に入ってからACTUの申請を審議し、併せて連邦政府や使用者団体等関係当事者の意見も検討したうえで、5月前後には決定を下す予定である。
注
- オーストラリアでは、アワード制度に基づき大部分の労働条件が連邦・州労使関係委員会(AIRC)を通して決定されている。ACTUは毎年アワードの適用を受ける労働者について賃上げ請求を提起しており、これに対して使用者団体は賃上げ請求が経済に与える影響を問題にしている。
2004年2月 オーストラリアの記事一覧
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