貧困撲滅政
―2005年2月の総選挙に向けてのタクシン首相のキャンペーン

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

タイの記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年12月

2005年2月の総選挙を控え、タクシン首相率いる愛国党(タイラックタイ)の選挙キャンペーンが11月上旬より開始された。そこで、タクシン首相は4年前の選挙活動と同様、多くの公約を掲げ注目を集めている。特に、貧困問題の解決が最大の公約としている。

今後4年間で貧困を撲滅

タクシン首相の公約によると、「貧困撲滅キャラバン」を全国に派遣し、失業者に職業訓練の機会を提供、同時に1日100バーツ(注1)の手当てを支給するという。また、教育分野でも、農村の貧困者が高等教育を受けられるよう、各種奨学金や教育ローンを完備することを計画しているという。また、地方農村ですでに実施されている農村基金(ビレッジ・ファンド)も、名称新たに農村銀行(ビレッジ・バンク)に変更し、各農村が独自の予算をもち、村の農業問題や新ビジネスへの投資などをより容易に行えるようにするとしている。多くの土地なし農民に関しても、共同地を所有できるようにする計画だ。

様々な問題を抱えながらも、すでに住民の暮らしに定着した「30バーツ医療制度」も、さらに拡充していくとのこと。高齢者保護政策としても、高齢者を世話する子供に対しての減税措置などを適用する。

一方、都市の貧困層であるスラム居住者に関しても、ウア・アートン住宅供給計画などで5万戸の低家賃住宅を提供した後、さらに拡充する計画があるとした。また中小企業振興策として、税金控除額を引き上げ、総収益が180万バーツ以下であれば、納税義務がなくなる政策も実施予定。

野党は愛国党の公約に批判

野党であるマハチョン党や民主党は、愛国党の公約には目新しいものはなく、以前の公約の延長に過ぎない、と批判。また、タクシン首相の様々なローン政策によって、世帯の債務額が2割も上昇しているという、国立経営大学院(NIDA)の教授が示したデータも提示した。より資金を借りやすい環境を整えても、資金の返済や資金計画に関しては適切な措置を取っていないためだと野党は指摘している。

マハチョン党の代表者は、タクシン政権がタイ国民を消費奨励だけの資本主義に陥れてしまう危険性があると警告している。

また、多くの公約が国の財政に多大な負担をかけており、その処理をどうするのかも、多くの分野から疑問の声が上がっている。

2004年12月 タイの記事一覧

関連情報