南部の混乱に伴う、経済政治不安と雇用問題
タイ南部国境3県(ナラティワート、ヤラー、パッタニー県)では、2004年1月4日の陸軍武器庫襲撃事件をきっかけに、連日テロ活動が続いており、2004年11月前にのべ300人以上が犠牲となっている。さらに、10月25日に発生した、ナラティワート県タクバイ郡における85人の死亡事件など、南部の治安はさらに混迷をたどっている。
情勢不安と雇用問題
こういった情勢を受け、現在南部では、テロの標的となってきた警察官や教官をはじめ、医者や看護婦などの公的な職員が絶対的に不足している。これらの地方に勤務している公務員が異動届を出しているためである。一時的に「危険地手当て」などの支給などにより対処は行っているが、公務員離れを食い止める方策は試行錯誤の段階であるという。
民間部門でも、2004年8月期の南部全体の空席数(求人数-就職者数)は2592席で、前年同期比で3倍に増加している。しかしながら、政府が推進する就職フェアや、今回の情勢不安からはあまり影響を受けていない貿易、サービス産業などからの労働需要があるため、若年者層の就職者数は減少数を抑えることが出来ている。
また、南部全体から見ると、情勢不安な南部3県から比較的安全な他県への移動が見られた様子で、南部3県での就職者数は減少しているものの、南部全体では2004年1月以降に比べて増加していることがわかった。
南部の主要産業である観光業にも観光客数の減少の影響が見られるが、一方で格安航空券の路線開設による、プーケット、パンガー、クラビー、ドランなどの各県には観光客が増加している。
海外からの直接投資も、治安が安定するまでプロジェクトを延期、または他県への変更などで対処しており、南部全体としてはそれほど大きな影響はないとみられる。ただし、情勢不安がビジネスと観光のセンター地域である、ソンクラーやプーケットまで及んだ場合は、大きな影響が予想される
2004年12月 タイの記事一覧
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