行政院「業種別賃金調査」にみる労働市場の動向

カテゴリー:労働条件・就業環境統計

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  • 国別労働トピック:2004年10月

産業・業種別の従業員数と賃金動向を把握するために、行政院労工委員会(CLA)は、毎年7月に「業種別賃金調査」を実施している。2003年~2004年の調査対象企業は9606社となっている。業種別従業員数と人員構成の動向は下記の通りである。

  1. 過去10年における業種別従業員数の動向

    台湾における雇用労働者の総数は566万人であり、過去10年間で31万人増加している。そのうち、工業部門従事者は277万人(48.94%)であり、1993年と比較して21万人減少している。一方、サービス部門従事者は28万8900人であり、過去10年で51万9000人増加している。工業部門に属する業種の中で、最も増加したのは建設業で11万3000人増、次に増加したのは製造業で7万9000人増となっている。一方、サービス部門に属する業種の中で、最も増加したのは貿易業で29万7000人増となっている。それ以外では、金融・保険業が10万1000人増、ヘルスケアサービス業が6万人増、専門・科学・技術サービス業が5万6000人増となっている。統計によれば、ここ10年で、サービス部門の雇用創出をもたらしている要因は、ハイパーマーケットとフランチャイズ店の進展、金融・保険業の成長、高齢化現象(それに伴って医療・ヘルスケアに対する国民の関心が高まっている)にある。

  2. 従業員数が増加・減少した業種トップ10

    従業員数が増加した業種トップ10は、情報サービス業、支援サービス業、放送・テレビ、その他の金融・補助サービス業、外国銀行、総合小売業、電子部品製造業、コンサルタント業、国内銀行、会計サービス業である(上位から順に)。以上の業種のうち、工業部門に属する電子部品製造業を除き、9業種がサービス部門に属している。

    それに対して、従業員数が減少した業種トップ10は、証券投資業、その他の鉱業、エネルギー鉱業、信用組合、タバコ製造業、皮革・毛皮製造業、採石業、服飾・装身具製造業、竹・木製品製造業である(上位から順に)。以上の業種のうち、8業種が工業部門に属している。

  3. 従業員数が最も増加・減少した業種トップ10

    従業員数が最も増加した業種トップ10は、小売業、電子部品製造業、コンピュータ・通信・オーディオビジュアル製品製造業、医療・ヘルスケアサービス業、支援サービス業、国内銀行、総合小売業、情報サービス業、その他の金融・補助サービス業、対人保険・補助サービス業である(順不同)。そのうち、電子部品製造業とコンピュータ・通信・オーディオビジュアル製品製造業は工業部門に属する業種であり、それ以外の業種はサービス部門に属するものである。統計によれば、ここ10年で、ハイテク製品製造業とサービス部門の雇用創出が増大している。

    従業員数が最も減少した業種トップ10は、一般土木・道路敷設業、小売業、服飾・装身具製造業、皮革・毛皮製造業、その他の製造業、織物業、建設業、電気機械装置・設備製造業、家具・調度品製造業である。そのうち、サービス部門に属する業種は第2位の小売業のみであり、それ以外の業種はすべて工業部門に属するものである。

  4. 業種別人員構成の動向

    過去10年の業種別人員構成を見ると、1993年7月の調査で10.75%だった全従業員に対する役員・取締役の比率は、2003年7月には14.38%に上昇している。管理職も15.43%から18.48%に上昇している。専門職は6.5%から8.45%に、技術職と準専門職は11.55%から12.8%に上昇した。非専門職と作業労働者は21.43%から22%に低下した。技術労働者も25.68%から22%まで低下した。統計によると、単純労働に対する依存度は大幅に低下し、専門職と管理職の数は増加している。

    主要産業の業種別人員構成は各産業の特性によって様々である。産業によっては、人員構成が極端に偏った業種がある。例えば、ヘルスケアサービス業の場合、看護士が52.59%、医師が13.57%、薬剤師が6.02%、サービス部門に属する宿泊・飲食業の場合、飲食サービス関係従業員が29.8%、経営者・役員が17.69%、調理関係従業員が12.81%という構成比率となっている。

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