労働における新潮流と人材育成政策課題

カテゴリー:人材育成・職業能力開発

台湾の記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年10月

台湾経済は、産業経済から知識経済まで幅広い分野に及ぶが、時代とともに変化する人材へのニーズをいかにカバーし、高度技能を有する人材を育成することで、労働市場の需要にマッチさせるかが政府の大きな課題となっている。行政院労工委員会(CLA)が、最近発表した「人的資源調査報告書」によると、いわゆる「労働の質」は、労働者の独創力、革新性、技能、知識および態度であり、「労働の量」とは迅速で適切かつ十分な労働力を提供することであると定義している。企業はキャリア・職業開発システムを構築する必要があり、中央政府、地方政府は被雇用者が高度な教育研修を受けられる場を提供しなければならない。又、大学や政府系、企業向けのキャリア開発教育期間は全土にわたる体系的ネットワークを構築する必要が強調されている。

一方、行政の科学技術諮問グループの調査によると、「選択された業種に関する労働力の需給」について、台湾の情報技術(IT)産業は、以前として1万7000人の労働者不足している。その反面、総統府予算会統計局調査の発表では、ITを専攻した卒業生は年間2万6000人に及ぶことが明らかとなっている。

需要より供給が多いはずの現状に、卒業生の技能が必ずしも産業界のニーズに合致していないことが伺われる。

このような状況を背景として、CLAは、現在の人材開発政策はとりわけ「労働者の質」を重視し、従来の職業訓練プログラムを組替え新しい技術的ニーズへの対応を迫られていることを指摘している。それは、人材開発や研修の際、職業技能や知識のほかにコミュニケーション能力、問題発見・解決能力、独創性、革新性およびチームワークに一層重点をおく必要を強調する。

国際的な人材開発の専門家の指摘によると、台湾では、3C(コンピューター、コミュニケーション。家庭用電化製品)の労働者不足しているのではなく、自分の技能を他の分野と結合させ統合一体化する方法を身につけている労働者が不足していることが問題であるという。すなわち、台湾では今、異なった組織技術・カルチャーと一体化し、異業種の人々と協力できる能力を有する労働者が要求されている。特にサービス部門の労働者は、異なった種類の人々と頻繁に交流し、複雑な状況の直接対処しなければならない状況がある。

「労働の量」に関しては、国内製造・サービス産業対象の調査によると、貨物輸送及び運送関係業が最大の需要を有する。地域的にみると、台湾北部では、電子通信・工学の技師、開会工と販売員、東部では、娯楽、貨物輸送、商品輸送業、バイオテクノロジー及び伝統的産業に対する強い需要がある。

経済部最近、「商業活動及び戦略」という報告書を発表したが、その中で産業構造の変化に伴う特殊技能人材への需要と供給のミスマッチを指摘している。

台湾国内のハイテク人材の不足を補うため、海外に住む中国人ハイテク技術者の雇用を図る必要が高まっている。また、これにより、台湾国内の未成熟なIT専攻の大学卒業生は就職ができないという事実も生じている。

そこで、CLAは、現時点で以下の事業に力を入れていく方針である。今後の効果的な詳細プログラムとその実施に期待は寄せられている。

  1. 最近の国内経済と地域産業の潮流を取り入れるために、労働力の質と量を考慮した政策および技術とカルチャーの一体化に取り組む。
  2. 情報ネットワークを構築し、大学、政府・民間研修センター、および政府機関全体を結合し、各企業向けの重要な教育研修情報を提供する。
  3. 国内企業の通信、コンサルティング・ネットワークおよび企業向け伝達システムを構築する。
  4. 労働需要の計算方法を開発し、見積もり方法を完成させ、職業訓練、技能検定、雇用、職業相談や技能向上のための重要な基盤を構築する。

2004年10月 台湾の記事一覧

関連情報