特例協約締結の可能性を拡大する団体交渉改正案

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年1月

フィヨン社会問題相は10月10日、「生涯職業訓練と労使対話に関する法案」を労使に提示し、全国団体交渉委員会(CNNC)に検討を求めた。法案は労使対話の強化をうたっている。労使対話に関してはいくつかの例外を除き、1982年のオルー法に基づいた規則が変わらないままであったが、法案はこれを改革する。交渉分野が拡大されるとともに、協約締結に多数決の原則が導入され、部門協約もしくは職業間協約の特例となる企業協約調印の可能性が拡大される。

法案は、使用者側と4労働団体(CFDT、CFTC、CGC、FO)との間で2001年7月に調印された団体交渉に関する合意内容である「共通の立場」を出発点に作成され、大臣官房によれば、新たな仕組みを生かすために、労使当事者へ「釣り合いのとれた観点」と「団体交渉展過程の第1段階」を提供する。政府は2007年12月31日までに、本法の適用に関する報告書を提出することになる。以下はその骨子である。

  • 法にのっとった交渉:

    シラク大統領の選挙公約に従い、政府は労使関係分野で、法手続きにのっとった団体交渉に優先権を与えると正式に約束した。この約束は法案趣意書に記されることになる。

  • 基準としての多数決原則:

    団体協約およびその調印者の正当性を強化するために、法案は多数決の原則を導入する。協約締結にはそれが基準となる。ただし、この原則の導入に対しては、MEDEFと「小規模」組合が慎重な姿勢を崩していない。

  • 職業間協約:

    反対の権利の行使を定めたことを除くと、ほとんど変わらない。例えば、1966年のアレテ(布告)によって認められた代表労働団体(CGT、CFDT、FO、CFTC、CGC)の過半数(すなわち、5分の3)が反対した場合にのみ、全職業協約の発効を妨げることができるようになる。

  • 部門協約:

    多数決の原則が基準になる。発効させるためには、部門協約は当該部門の労働者の50%以上を代表する労働団体が承認しなければならなくなる。部門における代表選挙によるにせよ、最新の職場選挙との関連によるにせよ、実際の代表水準を測定するとの規定を組み込むことで、社会問題相はCGTおよびCFDTが求める方向へ歩み寄ることになった。しかし、このように正確性を期すことは重要だ。規則を変更し、多数決の原則を導入するためには、5分の3の代表団体が反対せずに、正式に締結される部門協約が必要になる。しかし、本当の問題は、経営側がこの方向へ進む用意ができているのか否かを知ることだった。

    この新措置導入に関する部門協約がない場合、職業別協約は1つだけの代表組合が調印すれば引き続き発効するが、過半数の代表組合が正式に反対を表明しないことが条件になる。

  • 企業協約:

    企業協約の承認方法を決定するのは、部門協約である。各部門はこのために交渉を開始する。企業協約を承認するには2つの選択肢が可能である。すなわち、過半数(最新の選挙における従業員票の割合)による合意か過半数による反対の権利である。部門協約がない場合は、反対の権利が適用される。

    このほか、組合代表が不在の場合に、部門協約が従業員代表もしくは代理従業員に協約の交渉もしくは締結を委任できると、法案は定めている。

  • 特例協約の促進:

    法案は、部門協約もしくは職業間協約からの(労働法典からではない)特例となる企業協約締結の可能性を拡大している。しかし、最低賃金、職業分類、そして共済組合などの相互扶助の領域では、依然として部門協約が強制力を持つ。

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