国民議会が特定連帯手当改革法案を可決

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年1月

シラク大統領は「社会的亀裂」が拡大する恐れがあるとの懸念を示していたが、政府は失業手当の受給権が切れた失業者に対する特定連帯手当(ASS)の支給を制限することで、不安を増幅しているかのようにみえる。フィヨン社会問題相が推進するこの改革は、労働団体や野党だけでなく、与党の一部からも反発を受けている。与党フランス民主連合(UDF)のバイルー党首はこの改革を「災厄を生む社会的シグナル」と呼ぶ。

政府は10月21日に若干の手直しに応じた。すなわち、ASSの受給権を失った人たちは2004年から現役最低所得(RMA)を受け取ることができるようになった。その目的は社会復帰最低所得(RMI)受給者の社会復帰を促進することにある。しかし、この譲歩によって批判を封じることができたわけではない。それは恐らく、いくつかの疑問点が未解決のままだからだ。ASSからRMAへの移行はどのように進められるのか。その点で、対象者の状況は改善されることになるのか。2004年にRMIとRMAを先行実施する各県はASSの「受給権喪失者」を受け入れる資金があるのか。

1984年に創設されたASSは失業手当が打ち切りになった失業者に国が無期限で与える手当である。フィヨン改革によると、新規受給者は2年、すでに受給している者は3年に支給が制限されることになる。この「給付方式」(対象者は55歳未満)の改定により、政府は2004年におよそ1億5000万ユーロを節約できる。公共支出抑制の問題に対応するにはほど遠いフィヨン改革は、ひとつの明確な哲学のなかにその源がある。すなわち、「失業手当が雇用の不在を無期限に補償するのは健全ではない」という主張だ。

「援助のロジックから社会復帰のロジックへ移行するために」、「ASS受給権喪失者」はすぐにRMAへのアクセスが可能になる。この新たな措置が11月中旬に国民議会へ提出される法案に定められる。いかなる受給年数条件にも従わない「ASS受給権喪失者」は別にして、1年から2年の間RMIを受け取っている人たちにはRMAが用意される。RMAは時間最低賃金(SMIC)が支払われるパートタイム労働契約の形をとり、受給者のために職業訓練が施される。

2004年7月1日から6カ月の間に、およそ13万人の求職者がASSを打ち切られることになるという。一部の者はすぐにRMIに移るわけではないので、RMAの資格を持たない。なぜなら、RMIは家計の各構成員の所得を考慮し、資産条件に基づいて支給されるからである。したがって、このような計算方式のために、ASSを打ち切られても、RMIの特典が認められない場合もありうるわけだ。それがどのくらいの割合になるのだろうか。全国商工業雇用協会(UNEDIC)は数字を把握していないようだが、社会問題省筋は、「ASSを打ち切られた者の半数以上がRMAを受け取ることになる」とみている。RMAを受け取れない者たちの運命も気になるところだが、それ以上にフィヨン改革は「雇用市場の可能性」に関する問題も提起している。果たして企業はRMAに関心を寄せるのだろうか。いずれにせよ、各県はRMAのポストを創設するのに苦労するに違いない。

社会問題省筋は、受給者にASSやRMIよりも多くの稼ぎを可能にさせるばかりか、使用者にも「十分に興味深い」金銭的条件を提供するということで、RMAの魅力に自信を持っているようだ。しかし、RMA受給者の所得はRMIとたいして変わらない(単身者で月額411ユーロ)。

一方で、RMAの成功は県の力にかかっている。2004年予算は、RMIとRMAに関する新たな責任を果たすために、石油製品内国税の税収から徴収される490億ユーロを県に与えることを決めた。しかし、各県はこの額が十分だと考えているわけではない。

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