労働市場改革法9月に進水

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  • 国別労働トピック:2003年11月

7月31日、労働市場改革法(ビアジ法)に関する委任立法に対し、閣議が最終承認を与えた。多くの事項が労働協約に留保されるとはいえ(したがって、新法により直接開始されない制度もあるが)、9月からイタリアの労働市場の状況は変わることになる。同法は、9月に官報に記載された後、施行される予定である。これにより、企業は、9月からスタッフ・リーシング契約を締結することが可能になる。求職者は、派遣契約を結んだり、参入契約により企業に採用されたりすることもできる。また、職を探すために派遣労働企業に直接赴くこともできる。

ビアジ法の特徴は、同法により修正あるいは導入された契約形態のすべてが、就業者をターゲットとしている点にあるように思われる。例えば、パートタイム労働は、主として女性を対象としたものである。また、派遣労働や見習労働・実習などは若年者を、参入契約は長期失業者や45歳以上の者、女性などを対象としている。ある一定の集団を対象とする契約類型と並んで、企業の弾力化の必要性に対し、規制の観点から介入したより一般的な類型もある。例えば、プロジェクト労働として再構成された連携的継続的協働労働や、スタッフ・リーシング(期間の定めのない契約でも可能な労働者供給契約)などがそれである。秋から働こうとする若年者も例外ではない。彼らについては、小額ではあるが正規の報酬を伴う夏季研修制度が予定されている。

同法は、団体交渉により検討されることになろう。実際、この秋には、委任立法により定められた43の留保事項について、団体交渉が実施される予定である。これは、イタリア協定に締結したCISL(イタリア労働者組合同盟)およびUIL(イタリア労働連合)が、政府に対し、労使をかかわらせるよう明確に要請していたためである。

現状は、具体的にどのように変化するのだろうか?まず、求職者や働き手を探している企業の仲介をするのは、公的職業安定所に限定されなくなる。民間会社である派遣業者も、求人求職の仲介業を営めるよう認可を受けることが可能になる。イメージとしては、イタリアの町が、町全体に点在する民間職業安定所(職業センター)を通じて職探しが行われるロンドンのような町に変化するということである。

もっとも、従来の伝統が無視されるわけではない。むしろ、それは解体・修正されるのである。パートタイムがその例である。パートタイム契約は、労働時間についてより高い弾力性を提供してきたが、今回さらに、その特性が明確になった。見習労働もこれまで実施されてきた制度であるが、若年者により「特化した」契約類型に変化する。つまり、職業訓練に充てられる時間が整備されるとともに、労働市場への入り口という役割が明確になる。連携的継続的協働労働は、プロジェクト労働という名称に変わるだけでなく、取締役のような他の職業類型とは「選別される」ことになる。また、新たに導入される契約類型も少なくない。派遣契約、スタッフ・リーシングおよび参入契約などがそれである。このうち、参入契約は、旧訓練労働契約を引き継ぐ性格を持つが、弱者(18~29歳の若年者、32歳までの長期失業者、45歳を超える失業者および失業率の高い地域に住む女性)などを対象とする契約類型となる。

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