ビンズオン省工業団地で労使紛争増加

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2003年10月

ビンズオン省工業団地運営委員会によれば、2003年に入りすでに17件のストが発生し、これは前年度と比較して大幅に増加している。これらのストはすべて繊維・衣服・製靴部門の外国投資企業で起きており、その大部分は韓国籍、あるいは台湾国籍の企業である(注1)。同省の労働・傷病兵・社会問題局(DoLISA)によれば、ストを行った理由は、賃金・ボーナス・昼食手当の未払い、過重な労働、不十分な医療保険と社会保険、危険な労働環境、使用者による労働者の虐待などであった(注2)。

ベトナム労働法は、労使間に対立が生じた場合、労働側がストを行う前に次のような手続きを経るように定めている。まず労組が社内の同数の労使代表からなる労働調停委員会に調停開始を申し出る。企業に労働調停委員会がない場合に限り、地域の労働行政機関の労働調停官が調停を担当する。社内の労働調停委員会あるいは労働調停官による調停が不調に終わった場合には、省・市の労働仲裁委員会に移行する。労働仲裁委員会による調停が不調に終わると仲裁に移る。さらに仲裁に対し、労組あるいは使用者が異議がある場合には、労組はストを行う権利を持つ。

しかし、ストが起きたビンズオン省工業団地の17企業には労働組合が存在しないため、ストは違法である。労使紛争が起きた場合には、DoLISAおよび工業団地運営委員会が企業に赴き、事実関係の調査に当たるが、ストが違法であることから、行政が紛争を解決することを困難にしている。工業団地運営委員会によれば、外国投資企業に労組が存在する場合でも、労働者の権利を十分に守っていないことが多く、使用者による労働法違反を防ぐことができないでいる。

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