退職年金改革:2020年には拠出期間を42年に延長

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年7月

5月7日、フィヨン社会問題相とドルヴォワイユ公務相は共同で、閣議に退職年金改革法の草案を提出した。この82条から成る草案は、拠出期間、物価スライド、年金計算という3つの分野で、民間制度と公務員制度の段階的な一元化を確認している。

趣旨説明の中で、この法案は2020年までに制度の均衡回復を可能にすると強調されている。草案は「賦課方式の選択と退職年金に関する公平な待遇という原則を厳かに再確認」している。

政府はフランス人全員に基準所得の2/3に等しい平均退職年金を保障するとともに、最低賃金で自らの全キャリアを務めた労働者に対する最低年金額(基本年金プラス補足年金)を手取り最低賃金(SMIC)の75%以上に定めた。

公務員の拠出期間は現行の37.5年から2008年までに40年へ延長される。公務員も退職年金のために全員が、2012年には41年、2020年からは42年にわたって拠出することになる。2004年には減額制度が導入され、2008年には拠出期間が不足する場合、1年ごとに3%の減額が行われる。この割合は2013年に6%になるまで上昇し続ける。ただし、この減額は、民間の場合と同様に、一定年齢(事務職の場合は65歳、現業の場合は60歳)に到達した公務員には適用されない。一方、退職年金受給開始年齢は60歳に固定されるが、さらに長い期間を働きたいと望む労働者は、65歳まで、1年につき3%のボーナスを手にできる。

官民一元化の第2点は物価スライドである。公共部門の年金も今後は、ポイント値ではなく、一般制度と同様に、物価に基づいてスライドされることになる。これにともない、現役に認められる指数の引き上げから引き続き年金受給者が恩恵を受けられた仕組みが廃止される。

第3の一元化要素は、年金の計算方法と関係している。今後、公務員の年金は、最後の6カ月の俸給ではなく、最後の3年の俸給に基づいて、計算される。民間の場合、退職年金は依然として賃金の高い25年間に基づいて計算される。

当然ながら、この退職年金改革草案が発表されると、左派政党と労働団体から一斉に反発の声が上がった。5月13日には大規模なデモとストが予定されているが、その後も波状的な抗議行動が避けられそうもない。労働者の力(FO)のブロンデル書記長は、「首相は自らの決定を脅迫的に主張している。明日にも年金がなくなると信じさせることによって、首相は世論を操作したいのだ」と挑発的だ。また、労働総同盟(CGT)で年金問題を担当するデュイグー同盟書記も、「提案でまったく譲らないように見えるのは我々ではなく、政府の方だ」とし、「政府が開始した議論は真の交渉とはいえないので、労働者が声高に自分たちの要求を表明するのも当然だ」と非難している。

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