2004年の公務員数は3万人削減か

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2003年7月

4月24日付の「レ・ゼコー」紙によると、各大臣へ近日中に送付される政府方針通達状では、定年退職公務員の補充は2人に対して1人しか行わないと記されているという。この方針が実現されれば、2004年には3万人のポストが削減される。

政府は政治的にも社会的にも衝撃的な公務員数削減計画に取り組む決意がある。首相府は2004年の予算支出がどのように行われるのかを伝えるために、方針通達状を各大臣へ送付する準備に忙しいが、その内容は断固たるものになる。定年退職公務員についてはその半数しか補充を行わないとの1つの原則が表明されるからだ。数カ月前からこの方針に基づいて作業を続けてきた財務省も、「これが実際に首相に提出される通達状案になる」と認めている。

ラファラン首相はまだ裁定を下していない。そして、公務員俸給が秋まで凍結され、退職年金からも有利さが失われようとしているときに、その決定はデリケートな判断になる。国営テレビ「フランス2」の討論番組に招かれたフィヨン社会問題相は、「公務員が政府の標的なのではない」と質問者を説得しなければならなかった。

「これは何番目かの財務省案であって、まだ首相が署名したわけではない」と首相筋は語っているが、数週間前から最終的な内容がこれに近いものになることを隠していない。「54年間にわたって公務員は増加し続けたが、おそらく暫し停止させる必要があるのだ」という。

2003年の場合、国は230万人の公務員を雇用しているが、5万4000人が定年退職するにもかかわらず、1089ポストしか削減しないのだから、ラファラン首相は公務員の増加傾向に歯止めをかけたとはいえまい。

メール財務相は2004年が過去との決別の年になってほしいと期待している。ラファラン首相も行動する必要があることを確信しており、4月3日に「フランス3」で、「国の支出を伸び率ゼロに近づける必要がある」と語っていた。

首相は定年退職者の半分しか補充しないという自らの意思を売り込むために、3月24日から4月10日にかけて政府のメンバー全員と会談する。

2004年の場合、この措置は3万人近くのポストの削減を意味する。2012年までに40%の公務員が定年退職を迎えるが、その半分しか補充されないとなると、公務員定数はおよそ1/4に相当する50万人ほどが減少する。

EUの制約があり、ラファラン首相は経済の改革と各種の措置を加速させなければならない。3月6日、政府はユーロ圏のパートナーたちの前で、国内総生産(GDP)の3.5%に達している公共赤字を2004年までに2.9%に引き下げ、条約に定められている3%未満を実現すると約束した。

フランスは、2001年に公共赤字がGDPの3.1%を記録したことでマーストリヒト規則に違反し、EU委員会に重い罰金(30億ユーロ以上)を科されたが、2004年までに改善を約束することで罰則の適用を免れた。

したがって、政府は6月初めに、EU委員会へ約束を果たすための作業計画を提出しなければならない。EU委員会は数字の向こう側にある構造改革案に目を光らせることになるだろう。

公務員数の推移は重要な経済の即効薬ではないとしても、期待されている構造改革の中心にあることは間違いない。ただし、財政へ顕著な効果が現れるまでにはまだ時間がかかりそうだ。経済省の推計によると、来年から3万人ずつの公務員が削減された場合、国は2004年に5億ユーロ、そして2008年には40億ユーロの節約が可能になる。比較すると、国の支出は今日、年間に2710億ユーロに達するが、そのうちの4割以上が賃金と年金へ向けられている。

一部の省はすでに「定年退職者の半分しか補充されない」という原則に従う準備を整えている。メール財務相も、財務省は2004年に自ら範を垂れると発表済みだ。農業省や設備省も難色を示すことはないだろう。だが、シラク大統領が優先権を認めている国防省や内務省は、説得がもっと難しそうだ。しかし、最も多くの問題を孕んでいるのは、230万人の公務員の約半数を雇用する国民教育省である。労働組合の反発も強く、社会情勢の緊張も避けられそうにない。

2003年7月 フランスの記事一覧

関連情報