繊維・衣服産業における女性従業員の労働条件についての実態調査

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年5月

2002年末に労働社会問題研究所は、国内の衣服、繊維企業150社を対象に女性従業員の労働条件について調査した。150社の内訳は次のようになっている。

調査対象企業の分布(企業数)
  繊維産業 衣服産業
国有企業 28 18 46
外国投資企業 22 12 34
民間企業 57 13 70
107 43 150

これらの企業の平均従業員数は814人である。国有企業(1656人)、外国投資企業(685人)、民間企業(428人)と、平均従業員数の差は大きく、国有企業が最も大規模である。女性従業員の比率は繊維産業で70.3%、衣服産業では79.3%である。全ての従業員の約88%が生産に直接携わっている。

性別ごとに学歴を比べると、総合大学、単科大学、高等専門学校卒の比率は男性の方が高く、一般に男性の方が学歴が高い。各種の技能養成コースで訓練を一度も受けたことがない労働者の比率は男女間で大きな差は見られないが、この比率は、繊維産業(23.4%)、衣服産業(39.2%)と産業間では相違が見られる。

所有形態別では、概して国有企業部門の労働者の資質が最も高い。高等専門学校を卒業した労働者の比率は国有企業で最も高い。また、国有企業における未熟練労働者の比率は26.69%で、民間企業や外国投資企業における未熟練労働者の比率47.43%に比べ、かなり低い。

労働時間と月当り労働日数

ベトナムの繊維、衣服産業の特徴は、多くの企業が外国企業から受注して生産している点にある。その結果、納品日までに生産を完了するために繁忙期には労働者が1カ月間に30日働くこともある。繁忙期には、一日当たりの労働時間も長くなる。1年の中で最も超過勤務時間の長い月について統計を取ったものが次の表である。外国投資企業で働く労働者は、繁忙期に最も長い時間超過勤務していることがわかる。超過勤務時間の男女間格差は小さく、産業間の格差は大きい(衣服産業で39.5時間、繊維産業で28.9時間)

最長の月間超過勤務時間の平均(単位:月当たり時間数)
  男性 女性
国有企業 34.6 34.4
民間企業 35.1 34.8
外国投資企業 45.8 45.0
37.6 37.2

これに対し、仕事が少ない時期には月当たり労働日数も少なくなる。一年を通して平均すると、1カ月の平均労働日数は、25.53日(女性は25.37日)で、衣服産業では25.83日、繊維産業では24.47日である。所有形態別では、1カ月の平均労働日数が最も多いのは外国投資企業で26.1日、最も短いのは民間企業で25.2日である。

衣服産業、繊維産業における1日当りの平均労働時間は約8.6時間で、他の経済部門の平均労働時間8.3時間よりも長い。

調査対象全企業の年間超過勤務時間の平均は年234.5時間で男女間に大きな差はない(女性は232.8時間)。外国投資企業における超過勤務時間が最も長く、年250時間を超えている(252.7時間、女性は250.7時間)。衣服産業と繊維産業では衣服産業の方が年間の超過勤務時間が長い。

給料

従業員の平均所得は月78万7890ドンで、衣服産業と繊維産業との間にほとんど違いがない。女性の平均所得は月75万4000ドンである。両産業は、低賃金のために都市部では労働者の採用に苦労している。

月間平均所得(単位:1000ドン)
  男性 女性
管理職 1404.9 1281.9
技術、専門職 1018.1 864.2
技能労働者 888.7 833.8
未熟練労働者 663.6 670.7
787.8 754.2

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