旧正月ボーナスを巡りホーチミン市などでスト

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年5月

テト(旧正月)・ボーナス支払いを怠ったり、ボーナス支払額の少ない企業に対し、ホーチミン市などでストが起きている。労働法は、テト・ボーナスとして最低1カ月の給与相当分の支払いを義務づけている。企業が赤字であってもテト・ボーナス支給をしなければならない。しかし、2002年12月1日~2003年1月10日にテト・ボーナスを巡りストが起きた、ホーチミン市や南部の諸省の11企業では、ほとんどの場合、使用者が経営不振のためにテト・ボーナスの支払いを拒否したり、労働者が反発するほど僅かな額のボーナスしか支払っていなかった。

ホーチミン市タンビン工業団地の韓国企業Han Yang Es Vina社では、テト・ボーナスを支給されなかったとして200人以上の従業員がストに参加した。ホーチミン市ビンチャイン区のThanh Phu社では110人の労働者のうち35人が給与支払額の不足、超過勤務手当の未払い、僅かな昼食手当の金額に抗議して12月末から1月6日までストを行った。ホーチミン市ゴバップ区のTanacoタクシー社では、タクシー運転手がテト・ボーナスの増額を求めて1月2日~5日にストを行い、同社が要求された額を支払った後に運転手たちは再び仕事に戻った。また、ホーチミン市ビンチャイン区のSang Y製靴会社では、賃上げと労働者の権利の尊重を要求して労働者たちが2、3日間仕事をしなかった。

テト・ボーナスの金額は、会社の業績や個人の貢献度、使用者の考え方などに依存する。テト・ボーナスの金額について統計を取っている唯一の都市であるホーチミン市では、2002年に比べテト・ボーナスの金額が15~18%程度増えている。ホーチミン市におけるテト・ボーナスの平均金額は国有企業で160万ドン、民間企業で82万ドン(最も低い企業で5万ドン)である。銀行、金融、コンサルタント業の外国投資企業では、有能な労働者に3~4カ月分の給与に相当する高額のテト・ボーナスを支払う場合がある。一方、衣服、繊維産業の多くの外国投資企業は、会社の業績が良くても、従業員が多いためにボーナス金額を抑制気味にしている。

毎年、多くの企業がテト・ボーナスの支払いに苦慮している。ハノイのThang Long製靴社は、同社の3000人の従業員に、テト・ボーナスを17万7000ドン支払うと発表したが、従業員の抵抗にあい、22万ドンを約束した。従業員は、この金額にも満足しなかったため、同社はさらに10万ドンの上積みを行った。

ハノイの繊維工場で働くある労働者のテト・ボーナスは2000ドンに過ぎなかった。この会社の経営者は10万ドンのテト・ボーナスを約束していたが、シャツ、5キロの米などの現物支給をテト・ボーナスの一部とし、これらの価値を9万8000ドンとして残りの2000ドンだけを現金で支払ったためである。2001年にも、ハノイの企業が自社で生産している下着をテト・ボーナスとして支給し、数百ドンの現金しか支給していなかったことが報道されている。

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