インドネシア人労働者の就労制限を全面解除

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年4月

製造業と建設業でインドネシア人の新規雇用を凍結してきた政府は1月28日、同部門の労働力不足の訴えにこたえて、同措置を全面的に解除すると発表した。昨年1月のインドネシア人労働者による暴動事件をきっかけに同労働者の新規雇用を凍結。8月に一部業者に対し条件付きで雇用を許可したが、労働力不足が解消されず、今回の措置となった。

暴動事件で外国人労働者政策を見直し

政府は2002年1月にインドネシア人労働者が起こした一連の暴動事件を重く見て、外国人労働者とくにインドネシア人労働者を削減するため、インドネシア人の新規雇用を凍結すると同時に(メイドは除く)、就労期限の切れたインドネシア人に対し許可証の更新を行わず、また外国人労働者の就労部門を出身国毎に振り分けて、インドネシア人労働者についてはメイドとプランテーション部門に制限するなどの方針を打ち出した(本誌2002年45月号参照)。

さらに3月20日、不法外国人の自主帰国を促すために、改正出入国管理法(注1)が施行される8月1日までに出国すれば罪を問わないとする恩赦期間を設けた。恩赦期間中に出国した不法外国人は46万8000人にも達したが、うち半数は建設業で、大半がインドネシア人であった。

深刻な労働力不足、政府に方針転換求める

建設業界は労働力の割をインドネシア人に依存し、またその8割が不法就労者であったため、上の措置によって労働力不足がとくに深刻化した。建設部門の使用者団体であるマレーシア建設協会(MBAM)はインドネシア人の新規雇用を認めるよう政府に強く要望(注2)。再三にわたる要請にこたえて政府は8月、建設業と製造業でのインドネシア人の雇用を一部の業者に限り条件付きで認めた。

しかし、景気回復や公共投資などにより製造業と建設業での労働力不足は解消されず、技能や言語の面で即戦力となるインドネシア人労働者に対する需要が高まっていたため、政府は今回、約1年ぶりに新規雇用凍結を全面的に解除することに決めた。

外国人労働者に健康診断を義務化

政府は1月28日、外国人労働者に対し入国後すぐに健康診断を受けることを義務化する方針を打ち出した。出身国で受けた健康診断で合格していても、マレーシアで不合格となった場合は強制送還する。

現行では、出身国で受けた健康診断の結果で入国の是非を決め、1年後に再検査を行うことになっている。ところが1月に入り、本国の診断で合格したインドネシア人メイドが、入国後にチフスなどの伝染病病原体の保菌者だったことが発覚する事例が相次いだことから、今回の措置となった。

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