2003年1月より国家公務員最低賃金引き上げ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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2003年1月より、国家公務員の最低賃金が月21万ドンから月24万ドンに増額される。2003年国家予算には、このための必要経費7兆ドンが計上された。

政府は、国家公務員の給与改革を進めようとしているが、改革の策定に時間がかかっている。公務員の給与が低く抑えられている一方で、電気、水道などの価格が上昇していることに不満が出ており、ドー・クアン・チュン内務大臣も、最低賃金が非常に低いため低所得の公務員や引退した公務員が経済的に困っていることを認めている。

政府が現在検討中の給与改革では、人事配置の変更、組織効率化などが課題となっている。改革の実施は2003年前半に予定され、事務費軽減などの効率化によって、賃金のために用いることができる資金を増やそうとしている。この改革によって恩恵を受けるのは公務員にとどまらず、年金受給者、傷病兵、戦死者の両親や子供、枯葉剤の被害者なども含まれ、国内約8000万人のうち700万人以上に上る。

給与改革の目的の一つは、公務員の勤労意欲を刺激することにある。ハノイ国立大学のファム・ホン・チュオン氏の研究によれば、公務員の実質所得のうち、給与が占める割合は30%に過ぎない。そのため、仕事に対する姿勢が生ぬるく、高い収入をあげることができる副業に精を出すという弊害が生まれている。同氏は、公務員だけでなく、国有企業従業員についても、個人の貢献度と責務に見合った賃金を支払うよう提言している。同氏はまた、給与改革を進めるには、マクロ経済政策との整合性に留意することが必要だが、2003年1月の公務員最低賃金の引き上げは、適切な時期に行われることになると述べている。

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