社会近代化法修正案が成立:解雇規制を緩和

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年3月

週35時間制と労使関係近代化法の解雇禁止規定。ラファラン政府は前政権の象徴とも言える2法を取り消すことにゴーサインを与え、国会はフィヨン社会問題相によって提出されていた2法案(「賃金、労働時間、および雇用開発に関する法案」と「経済的理由に基づく解雇についての団体交渉の再活性化に関する法案」)を最終的に承認した。

しかも、与党の上下院議員は、同相の要請に従い、ほとんど修正を加えず、原案は損なわれなかった。原案では、最低賃金(SMIC)の一元化、使用者が負担する社会保険料の軽減、そして補償休日を提供しなければならない労働時間水準の引き上げを定めていたが、成立した法案には、(労働時間短縮領域から外れる)年間労働日数請負制の恩恵に浴する管理職数を増大させる規定が付け加えられた。このほかに、時間貯蓄勘定へ割り当てられる有給休暇の権利は最高で年に5日(これまでは10日)しか現金化できないという規定、そして待機時間は関与がなければ休憩時間として計算できるという規定が設けられた。

共産党のミュゲット・ジャッカン議員(セーヌサンドゥニ県)は、「週39時間制採用企業はもはや週35時間制へ移行するいかなる関心を持つこともなくなるだろう」と与党の企業寄りの政策を批判した。週35時間制へすでに移行した企業も4時間分について10%のコストを支払えば、39時間制へ復帰することができるが、企業間の不平等を悪化させただけでなく、労働者間の格差も拡大させる可能性があるといえそうだ。

さらに、与党は、集団的解雇制限規定と労働者の権利(組合が反対する権利、社会的ならびに地域的な影響を調査する義務、労働視察官の特権の強化など)の18カ月間凍結を目的とする第2法案に関して、社会問題相の提案をはるかに上回る内容を獲得した。

追加された2条(雇用調整計画を提出する前に週35時間制について交渉する義務、および雇用調整計画を発表する前に企業委員会へ通知する義務)は停止された。また、精神的嫌がらせ(いじめ)に関する規定は修正され、被害者は事実を立証しなければならなくなった。

社会党のクリスチャン・バタイユ議員(ノール県)は、「この法律は解雇に関する法的最低保証を見直すものだ。そして結局のところ、それは労働法典そのものを見直そうという試みに他ならない」と不満を隠さない。労使は新法の起草に向け、今後18カ月間にわたって全国協約の交渉を行う。

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