全国調停委員会(NMB)、デルタ航空客室乗務員の組織化投票のやり直しを認めず

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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全国調停委員会(NMB)(注1)は2002年12月12日、2002年2月1日に行われたデルタ航空客室乗務員の代表選挙で、デルタ航空が組織化活動へ違法の干渉を行ったとする客室乗務員労組(AFA)の訴え(本誌2002年4月号参照)を否定した。選挙では、投票権を持つ1万9033人の約29%にあたる5520人が組織化に賛成票(反対は89票)を投じたが、棄権票は反対票として数えられるため、組織化に必要な過半数票(9517票)に足りなかった。

米国で業界3位のデルタ航空は、大手航空会社の中で最も組織化されていない航空会社である。強力なパイロット労組(ALPA)の他は、僅かにパイロット訓練士などが組織化されているに過ぎない。AFAによると、同社は、組合を批判するビデオを客室乗務員の自宅に送り、投票用紙を破り捨てるように促していた。さらにAFAによれば、同社が組合の運動員にいやがらせをし、AFAが乗務員のラウンジで勧誘活動をする度に、常識では考えられないほど多くの人数の上司が突然現れることが普通だった。

NMBは2001年の秋に同社がそのような干渉を行っていた一応の証拠(prima facie evidence)を確認していたが、選挙結果を未決定の状態とし、調査を継続していた。 

NMBは、今回の決定の中で、多くの監視活動が行われたことは問題であるとする一方で、上司の人数が増えた理由は、仕事のためであったと信じるに足る十分な証拠があるとした。しかし、3人で構成される委員会の一人である委員ハリー・ホグランダー氏は、報告書で反対意見として、調査員が収集した証拠によれば、デルタ航空は選挙妨害をしており、再選挙を要請したいと述べている。

デルタ航空はNMBの決定を歓迎している。AFAは、NMBの決定について、前例と事実を無視している恥ずべき決定であると批判している。

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