INPDAI、INPSへ統合

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年2月

工業企業の上級管理職に関する年金事業を運営してきたINPDAI(工業企業上級管理職全国社会保障公社)が、60年の活動に幕を閉じ、廃止されることになった(2003年財政法案)。2003年1月1日より、INPDAIのすべての機関と機能が、INPS(全国社会保障公社)へ移管されることになる。

具体的には、INPSの管轄する被用者年金基金への統合が予定される。年金に関しては、2003年から、INPSに関する保険料率・年金算定率と報酬区分が適用されるが、年金以外の給付に関しては、現在INPDAIに適用されている規定が引き続き適用される。

INPDAIをINPSへ統合するため、財政法は、2003年につき10億4100万ユーロ、2004年につき10億5500万ユーロ、2005年につき10億6700万ユーロの移転を認めている。

今回のINPSへの統合が現職の上級管理職に及ぼす効果を理解するためには、若年層とそれ以外の者とを分けて考える必要がある。1996年1月1日以降の加入者(拠出方式(注1)の対象者)に適用される社会保険料算定の基準には何ら変更がないが、同日より前の加入者(報酬方式の対象者)については、保険料賦課の所得上限が廃止される。現在、工業企業の上級管理職に関しては、年間所得の上限が143,105ユーロと定められている。この上限を超える所得については、保険料を払う必要がない反面、年金給付も受けられない。しかし、この上限が撤廃されることで、企業および上級管理職は、より多くの保険料を負担し、より多くの年金を受給する可能性が出てくる。一方、現行法上、平均所得以下の者は、年金算定に関して、INPS加入者で同所得の者よりも若干有利に扱われている。したがって、これらの者は、INPSへの統合により、この利益を失うことになろう。

ただし、いずれの場合も、新制度の効果は遡及しない。新制度は、2003年1月1日から適用されるので、年金算定は、2002年12月31日までの年功部分についてはINPDAIに関する旧規定、2003年1月1日以降はINPSに関する新規定に基づいて行われることになる。

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