企業への同化が難しい心身障害者、総従業員数に占める割合は法定基準を下回る

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年2月

1987年以降、従業員20人を上回る事業所ではフルタイムもしくはパートタイムで6%の障害者を雇用しなければならないと、法律は企業に義務づけている。それから15年が経過したが、11月11日から17日まで実施される「第6回障害者職業同化週間」をきっかけに呼び起こされた現実は、夢からほど遠い。シラク大統領が「国民的優先課題」と呼ぶ障害者の職業同化は、彼らが先天性の障害であろうと、労働災害、職業病、あるいは不慮の事故の犠牲者であろうと、厚い壁が立ちはだかっている。

現在、企業における障害者の雇用率は4%前後に貼りついている。対象従業員数は21万9000人になる。そして、国立雇用紹介所(ANPE)には2002年に21万5941人の障害者が登録されているが、その42%は期間が1年を超えている。

法律が見かけほど強い力を持っていないというのは事実のようだ。直接採用を行わない企業は、保護された職場である労働支援センター(CAT)と下請け契約を締結することができるし、障害者職業同化基金(AGEFIPH)へ移転される金銭的拠出によって義務を果たすこともできる。

実際のところ、AGEFIPHによると、企業の1/4は、障害者の同化に努めるのではなく、最後の方式を選択した。全国労災・障害者連盟(FNATH)も、企業の1/3が障害者をまったく雇用していないという事実は「差別」の証拠であると指摘する。同連盟は、「採用面接のためにたった1人の障害者とも会ったことがないという企業が依然として存在することはそれだけでも非難されるべきだ」として、罰則の強化を訴える。そして、建設業や公共交通部門など、法律の義務と矛盾しているいわゆる「適用除外」職業リストの改訂を望んでいる。

多くの障害者にとって、雇用へのアクセスの平等性は障害物競走の領域である。最初の採用面接で拒絶されるほかに、多くの者が基本的職業訓練と比較して低い資格の「補助的」仕事を提案されると告発する。定年制や合理化の最初の犠牲者である障害者は景気の低迷にも影響を受ける。AGEFIPHによって実施されている障害者雇用制度も2002年にはすでに不安定な契約や期間の定めのある契約(2001年にも求人数の65%を占めていた)の増加によって景気悪化の影響が確認されている。

しかし、15年間で状況が変わってきたことも事実だ。1987年に雇用されていた障害者は7万人で、採用者数は年間で7000人だったが、2001年には10万7000人の採用が実現された。この数字は高齢労働者の早期退職者数に匹敵する数字である。

AGEFIPHでは、「障害者は数年ほど早い人口老齢化の指標である」と強調する。労働人口の予測されている減少が障害者に、とりわけ第3次産業やサービス業などの雇用創出部門で、雇用機会を提供することになると期待している。

組合と締結された協約のおかげで、一部の大グループは雇用の予測管理計画の中に障害者を組み込んでいく制度を検討し始めた。この実験的な動きは、プジョーやルノーなどの自動車産業のほか、大規模流通業界で行われてきた。1942人の労働者が障害を抱え、2004年までに250人の採用計画があるカルフールはすでに6%枠を超えている。カジノやデカトロンでも、同様の努力が傾けられてきた。

タールグループ(元トムソンCSF)は職場での妨げやためらいを取り除くために、職業同化組織

を設置した。このハイテク会社では障害者の採用、職業訓練、そして保護者の付き添いが重視される。また、視覚障害者と聴覚障害者に対応する目的で職業訓練の特殊なソフトウェアを考案するために、研究チームも動員された。AGEFIPHの担当者は、障害者の労働環境のためのあらゆる行動が他の労働者の労働条件の改善につながるはずだと確信している。しかし、危機の時代にあっては、このような見解さえも広く共有されることにはならない。

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