北京市政府、外資系企業の人材紹介業への進出を奨励

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年2月

北京市政府は、2002年7月20日、労働者への就職情報サービス事業の増加と多様化を目指し、「中国と海外の企業が、共同で人材紹介業を経営することを奨励する暫定方法条例」を公布し、その後も外資系の人材紹介企業に対し北京への進出を奨励している。これは、WTO加入後、北京市に進出している外資系企業のニーズに合った人材を紹介する機関の増加が必要になってきたこと、国有企業が相次いでリストラを迫られる中、労働市場において、圧倒的な供給過剰の現状を緩和するために、人材紹介業者の増加が望ましいことが背景にあると見られている。

概況

現在、北京市には、認可済みの人材紹介企業が、177社あり、概算では約9900の単位の10万人以上の余剰労働者に再就職を支援してきたとされている。

しかし、WTO加入後、外資系企業の進出が増加し、従来の余剰労働者を対象とした人材紹介方式だけでは不十分な面が生じ、優秀な人材のヘッドハンティング的な人材紹介業務を行う人材紹介業者の必要性も出て来た。

暫定条例の内容

外国の企業、組織が人材紹介業務を行う場合、北京市内の人材紹介業社と合資・合弁方式で事業を始めることを規定し、外資系企業が独自に人材紹介業務を展開することを禁止している。

また、香港特別行政区、マカオ特別行政区の企業が、北京市内で人材紹介業務を開始する場合も、この条例に沿って、事業開始するよう規定している。

現在の問題点

北京市は、同暫定条例第5条で、人材紹介業務の所轄は、労働社会保障局だけでなく、北京市人事局、工商行政管理局、対外経済貿易委員会も、外資との合資・合弁の人材紹介業企業に対して、独自の職権の範囲内で審査・認可・登記・管理・監督を実施できると規定している。

海外の人材紹介企業の中には、この規定では、監督官庁の職務権限の区分けが曖昧で、事業を展開しにくいという意見も出ている。

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