賃金で民間よりも優遇される公務員

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年1月

2003年財政法案の補遺として政府が提出した「公務員の報酬と年金に関する報告書」によると、公務員の税引き前の1人あたり平均賃金(SMPT)の上昇率は1990—2000年に恒常フランで民間部門を3.8ポイント上回った。

一定人員の賃金総額の推移を測定するSMPTのこの上昇は、同じ時期に国家公務員の購買力が民間部門の労働者よりも1.4倍も優位にあったことを意味する。この格差は手取り収入で見るとさらに拡大する。すなわち、公務員の手取りのSMPTは民間部門のそれを6.2ポイントも上回る。

国家公務員の手取り平均賃金はこの10年間に10.2%の購買力の上昇を記録した。年平均に換算すると約1%になる。民間部門の手取り賃金はこの時期に、物価(たばこを含む)上昇率をかろうじて上回っただけにすぎなかった。すなわち、10年間で4%、年平均で0.4%となる。

1991年から1996年を見ると、恒常ユーロの手取りSMPTの上昇幅は民間部門よりも公務部門でかなり大きかい(それぞれ、+2.2%、+3.4%)。この傾向が1997年から2000年にかけて逆転し、SMPTの平均上昇率は公務部門の+1.7%に対して、民間部門は+2.0%を記録した。しかし、対象となる10年を見ると、手取りのSMPTは公務部門でより早く上昇している(民間部門の+23.3%に対し、+30.5%)。税引き前のSMPTは、源泉徴収率に違いがあるので(2000年の場合、16%対物レンズシステム20.5%)、上昇率の格差がもっと小さい(民間部門の29.7%に対し、+34.2%)。

報告書は、国家公務員と民間部門との間の手取り賃金水準の比較も試みている。この点でも公務部門の優位が確認される。国家公務員の平均月額手取り収入は1944ユーロに達し、民間部門のそれ(1700ユーロ)を14%以上も上回ったからである。国家公務員の手取り賃金の中央値(1849ユーロ)も民間部門(1377ユーロ)を34%近く凌いでいる。2000年に国家公務員の手取り収入の中央値を上回る額を受け取った民間労働者は3分の1未満にすぎない。

ただし、報告書は、公務部門と民間部門との賃金水準の格差に関して、職業構造の違いからしか説明できないと強調している。第1に、民間部門では、第3次産業の雇用が第1次産業および第2次産業と共存しており、第2に、民間部門に対応職がほとんど見つけられない教員が多くを占めるという事実のために、中間管理職および上級管理職の比重が国家公務員においてかなり高いからだ。

低賃金

格差は職業構造の違いに加えて、国家公務員が「低賃金」で有利な状況にあることも大きい。たとえば、2000年に民間部門の20%の労働者は月額1003ユーロ以下の手取り報酬を受け取っているが、国家公務員の場合、月額1134ユーロ以下の手取り報酬は5%にすぎない。

両部門間の源泉徴収額の違いを考慮すると、最低レベルで採用された公務員の諸手当を除いた手取りの指数別号俸(E2等級1号)は手取り最低賃金(SMIC)を17.4%上回っている。また、公務員はほとんど自動的な定期昇進から恩恵を受けているが、民間部門の労働者は恒久的にSMIC水準にとどまっている場合もある。

一方、公務部門では、民間よりも賃金の幅が狭い。第9の10分位数と第1の10分位数の手取り賃金の比は民間部門で3.1であるのに対し、公務部門では2.39にすぎない。

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