解雇者の8割が15カ月以内に再就職

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年11月

厳しい雇用情勢のなか、解雇者の多くは再就職先を決めるに当たり就労条件については選り好みが激しい一方、給与の引き下げや職種の変更については寛容であることが、労働力省の調べ("After Layoff")で明らかになった。また解雇者の8割が15カ月以内に再就職している。

同調査は、解雇後の求職活動や再就職先に期待する賃金・就労条件、失業中の生活資金など、既存の雇用・労働調査などでは十分に捕捉されていない解雇者の行動についての情報を得る目的で、2001年1~9月の間に解雇された2311人を対象に、今年の3月から4月にかけて実施された。

それによると、低学歴者や若年層は求職に際して相対的に選り好みする傾向が強く、また再就職を果たしていない者は、その理由として技能不足や言語上の障害よりも年齢や労働市場の逼迫を挙げている。

以下に主な調査結果をあげる。

  • 解雇者の9割が解雇手当を受けている。受取額の中央値は最終給与の5カ月分。
  • 解雇者の76%が解雇後15カ月以内に再就職を果たし、15%が求職活動を継続中である。残り9%は労働市場から退出した。
  • 多くの解雇者が再就職先として様々な産業・職種を視野に入れている一方で、就労条件については選り好みが激しい。とくに低学歴者や若年層で全般的に選り好みが激しい。
  • 再就職できていない解雇者の4分の3近くが、職の提供をまったく受けていない。理由として年齢や労働市場が逼迫していることを挙げている。
  • 再就職できていない解雇者の4分の1が職の提供を断っている。理由として、低賃金(42%)と長距離通勤(40%)が最も多い。その他に、劣悪な就労条件(26%)、長時間労働(23%)、異なる業種(19%)、交代制労働(14%)などとなっている。
  • 再就職できていない解雇者の3分の1が家計で唯一の稼ぎ手である。失業中の生活資金について、解雇手当(64%)、貯蓄の取り崩し(62%)、片手間仕事(28%)に依存している。公的扶助に依存しているのは3.9%にすぎなかった。
  • 求職活動している解雇者の7割が、政府の求職支援スキームを少なくとも1つは知っている。ジョブ・フェアが最もよく知られている。
  • 再就職した解雇者の59%が以前の職よりも賃金が低くなり、4分の1は30%以上の低下を経験している。21%は賃金に変化はなく(5%以内の変化)、20%は賃金が高くなった。
  • 解雇されてからも労働市場にとどまっている者の7割が積極的に職業訓練を受けている。ただ、年齢が高くなるにつれてその割合は低くなっており、30歳未満では86%の者が訓練を受けているのに対し、50歳以上ではわずか44%にすぎない。また学歴が高い方が訓練に前向きで、学位保持者では86%が訓練を受けているのに対して、中卒未満は47%にとどまっている。

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