第2四半期の雇用情勢、やや好転
―GDPもプラス成長

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年11月

労働力省が7月31日に発表した第2四半期雇用統計によると、6月末時点の失業率(速報値、季節調整済み)は4.1%で、5四半期ぶりに改善した。また第2四半期の実質国内総生産(GDP)成長率(確定値)は3.9%で、5四半期ぶりにプラス成長に転じた。

雇用情勢、やや好転

今年の第2四半期の解雇者数は3800人。前四半期の4857人を約1000人下回り、2001年第1四半期の水準に近づきつつある。経済を財生産とサービス生産の二部門に分けてみると、財生産部門が1700人、サービス生産部門2100人で、前四半期と同様にサービス部門が財部門を上回っている。

雇用者数は5500人減少し、4四半期連続の減少となったものの、前3四半期が1万2500~1万4000人減であったのと比べると、大幅に改善したと見てよい。部門別では、財生産部門が7200人減少したのに対し、サービス生産部門は1700人増加した。

これを反映して6月の失業率は4.1%と、過去15年間で最悪を記録した3月の4.5%を下回るとともに、5四半期ぶりの改善となった。

このように雇用情勢は、最悪だった前四半期と比べると好転しているが、政府は、大きな雇用創出が見込めないなかで今後新卒者が労働市場に参入してくるので、下半期に向けて失業者は増え、失業率は5.5%に達するだろうとの見通しを示している。

四半期別の解雇者数(人)
  2001年 2002年
通年
合計 3248 5631 8368 8591 2万5838 4857 *3800
財生産 2167 3954 5527 4377 1万6025 2200 *1700
サービス生産 1081 1677 2841 4218 9813 2657 *2100

*速報値(出所)労働力省

四半期別の雇用者数の増減(人)
  2001年 2002年
通年
合計 2万3200 3300 -1万2500 -1万3900 100 -1万3800 *-5500
財生産 -5000 -9000 -8700 -1万4000 -3万6700 -1万1500 *-7200
サービス生産 2万8200 1万2300 -3800 100 3万6800 -2300 *1700

*速報値(出所)労働力省

四半期末毎の失業率(%、季調後)
2001年 2002年
3月 6月 9月 12月 3月 6月
2.4 2.7 3.8 4.4 4.5 *4.1

GDP成長率、5四半期ぶりにプラス

一方、通産省が8月12日に発表した第2四半期国内総生産(GDP)成長率(確定値)は、前年同期比3.9%となり、2001年第1四半期以来のプラス成長をとげた。

部門別では、財生産部門が前四半期のマイナス5.1%からプラス8.5%へと高い伸びを示した。なかでも製造業は14.3%で全体の成長を牽引した。建設業は逆にマイナス10.2%で、4四半期連続のマイナス成長となった。

サービス生産部門も1.5%のプラス成長を実現した。製造品の出荷が増えたことから、とくに運輸・通信業が6%、卸・小売業が3.8%と高い伸びを示した。それ以外はマイナス成長で、とくに金融部門は7.3%のマイナスで全体の足を引っ張った。

今回の結果を受けて通産省は、2002年通年の予想成長率について、当初の2~4%から3~4%へと最低値を1ポイント引き上げた。

四半期末毎の国内総生産伸び率(%)
  2001年 2002年
対前年同期比 合計 5.0 -0.5 -5.4 -6.6 -1.5 3.9
財生産 2.8 -6.3 -14.8 -15.2 -5.1 8.5
サービス生産 5.7 2.6 -0.2 -1.3 0.2 1.5
対前期比(年率) 合計 -11.4 -8.3 -10.5 5.6 8.1 13.6
財生産 -27.2 -19.0 -24.3 16.1 14.0 37.5
サービス生産 -0.3 -3.0 -3.1 1.5 5.5 2.4

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