失業の増加傾向が続く

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年11月

フィヨン社会問題・労働・連帯相は就任以来、労働市場の悪化した状況と改善には時間がかかりそうだという見通しについて、繰り返し述べてきた。多くの企業が雇用に関する決定を発表するのに、選挙が終わるのを待っていたからである。8月30日に発表された雇用統計は、その判断を裏づけるものだった。すなわち、7月の失業者数は対前月比で再び0.5%(1万1800人)の増加を記録して227万3900人となった。年間の増加率は7.9%である。月に78時間以上働いた求職者を加えると、7月末の失業者数は267万700人となり、こちらの数字は月間で0.7%、年間で5.5%の増加となる。ILOの定義に基づく失業率は9%と横這いだった。

景気の悪化により、女性よりも男性の方が大きな影響を受けた。相対的に女性が多いサービス業よりも、男性労働者の数が多い製造業の方が世界経済の減速化から直接的な影響を受けるからだ。男性の国立職業紹介所(ANPE)登録者数は前月よりも13%も増加しているが、女性の方は+2.9%にとどまった。

7月の失業率が高かった若年者の場合もこの傾向が顕著である。25歳未満の男性は求職者数を18.5%も増加させたが、同じ年齢グループの女性は+4.9%にすぎなかった。労働市場の悪化にこれまでかなり持ちこたえてきた長期失業者(1年以上)も7月には増加を示した。すなわち、月間で+0.3%、年間で+1.6%を記録し、7月末には66万4500人に達した。

ところで、7月には合計で34万3500人がANPEの登録を抹消した(対前月比で+1.7%)。登録を抹消した理由を見ると、再就職は5.5%、研修への参加は49.3%と大幅に増加した。また、同じ月に36万1800人がANPEに登録した(対前月比+0.7%)。ANPE登録の26%を占める「期間の定めのある契約の終了」が増加した(+5.6%)。初めての参入者(すなわち、労働市場へ到達することになった若年者もしくは仕事を開始した女性)が7月に19.8%も急上昇し、新規失業者の7.8%を占めた。一方、ANPE登録の9.5%を占めている「代行職務の終了」は1.7%の減少だった。

6月にも減少していた「経済的理由に基づく解雇」は7月に6.1%の減少となった。2002年3月に成立した労使関係近代化法に定められた解雇条件の強化がおそらくはこの減少傾向に寄与しているのだろう。しかし、政府はシラク大統領の選挙公約と企業の要請に基づき、この法律の内容を見直すことになりそうだ。

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