雇用対策、経済危機に食われる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年10月

サンパウロ市(労働党市政)の労働・労組開発局は、「ブラジルの雇用政策と失業。何が不足しているか」と題する政府の労働政策に関する分析を行った。それによると95~2000年にブラジル地理統計資料院(IBGE)の公式指数で、失業者は450万人が1.150万人へ155%増加したが、政府が新雇用創造と失業者援助に投資した資金量は、労働者保護基金から64億7.000万レアル(95年7月1日は1ドル0.92レアル)を106億8.000万レアルへ(2000年7月1日は1ドル1.808レアル)へ64.7%増加させたに過ぎない。失業者1人あたりの支援支出は同期間に1.410レアルから913レアルへ下がっている。政府は90年代に雇用対策として、国家職業訓練計画、雇用創造・所得計画、雇用拡大・労働者生活の質の向上計画などを相継いで実施したが、失業増加と、所得低下を阻止することは出来なかったと指摘している。

更に、失業対策資金の投入は政治的に配分され、2000年の場合、全失業者の19.2%を有する南部と中西部に、資金の53%を配分し、失業者の47.9%が居住する南東部には32.5%の資金を投入した。また、全失業者に工業失業者は13.9%しか占めないが、雇用促進投資の48.3%は工業部門に向け、失業者全体に64.02%を占める商業とサービス部門の雇用創造政策には資金の31%を投資していると、投資の不均衡を指摘している。

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