2大中央労組、大統領選で対決

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年10月

02年10月に行われる次期大統領選には4人の有力候補者が人気調査で10%以上を維持しているが、そのうちの2人が2大中央労組を政治的に対立する形にしている。人気調査でトップにある労働党のルイス・イナシオ候補(通称ルラ候補)には、常に中央労組CUTが下部組織のように全面支援を行っており、今回もCUT本部は所属労働者の90%以上が、ルラ候補に投票すると、早くも政治色が強い発言を行っている。

一方のフォルサ・シンジカルは、パウロ・ペレイラ・ダ・シルバ委員長自身が、シーロ・ゴーメス大統領候補と組んで、副大統領候補に立候補して、これもフォルサ・シンジカルが、シーロ候補支持を公式決定すれば、90%以上の労働者が中央労組の決定に従うと発表した。CUTは全国に3.165の単労が加入していて、所属組合員は2.177万7.143人と発表している。フォルサ・シンジカルは所属組合1.692、加盟労働者1.674万4.990人と発表した。両中央労組は参加組合が、中央労組の号令次第で動くように発表しているが、下部の組合は必ずしも中央からの指示通りには行っていない。

CUTでは02年6月までにルラ候補支持を正式に決定した労組は、サンパウロ銀行労組だけである。フォルサ・シンジカルも同じく、シーロ候補支持を正式に決定したのは繊維工業労組と、商業労組だけである。サンパウロ首都圏のオザスコ市の金属労組は、フォルサ・シンジカルに所属しながら、ルラ候補の選挙運動に参加する意向を発表し、同じくサンパウロ食品工業労組は、政府が支持しているジョゼ・セーラ候補支持を発表した。各職種別労組の委員長の政治的立場が、中央労組の思惑とは別の行動を取たせている。フォルサ・シンジカルからは、この他に連邦上下議員や州議員候補に21人が立候補している。また中央労組が政治運動に献金することについては、法的解釈が様々に分かれているために、各自の判断で行われている。

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