トヨタ・モーター・タイランド、トラック生産拠点をタイに移転、採用増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

トヨタ自動車は、1トン・ピック・アップトラックの生産をタイへ移転する計画を先に発表したが、移転に伴ういくつかの問題点から最終的な判断を延期している。トヨタだけでなく他企業も、自動車産業の好況を背景に採用増が見込まれている。

好調な自動車販売

2002年のタイ国内の自動車販売は好調で、トヨタは7月に採用を500人増加することを明らかにしたばかり。このうちすでに半数程度は採用者が決定しているが、残りの200名程度を7月7日にバンコクで開催された「トヨタ・ジョブ・フェア:2002年を越えて」にて募集した。ちなみに、同社の従業員は約4700名で、そのうち2000名がサムット・プラカン県とチャチュンサオ県にある工場の組み立てラインの作業員だということだ。

タイ国内自動車販売数23年間連続1位を保ってきた同社では、タイ国内の自動車シェア30%占めている。2002年の工業用自動車は36-38万台を生産する予定。

自動車販売数は1997年の経済危機後大幅に落ち込み、多くの自動車メーカーでは、生産を減らし雇用削減を行って困難を切り抜けてきた。一方、トヨタは組み立て作業員の人員削減は行わずに、作業員を配置換えすることによって生産減に対応してきた。その後1999年頃から販売台数が回復し始め、2002年にかけて右肩上がりで増加している。

タイへの生産移転に障害となる2つの点

トヨタは2001年にピックアップ・トラックの生産移転を明らかにし、2002年の4月か5月にも移転かと見られていたが、さまざまな障害により最終的な決定は遅れている。その障害となっているのが次の2点である。

1つめは、BOI(投資委員会)が自動車生産で使用する機械に関して、国内向けと輸出向けと、使用する機械を分けるべきと主張しているのに対して、トヨタはそのようなやり方は非効率であると反対している点である。

2つめは部品供給の問題で、系列の多さで有名な同社がこのモデルの生産を完全にタイに移転してしまった場合、系列の子会社が倒産する事態に陥ることを危惧している。

今回の計画では、サムット・プラカン工場に100億バーツの投資が行われ、2004年までに生産可能台数を3倍に拡大させる予定。その後タイを、アメリカを含めた全世界への輸出向けの生産拠点とすることを目的としている。

いすゞもタイへ生産拠点をシフト

いすゞモータースと三菱は、2002年6月上旬に、ピックアップ・トラックの生産をタイへ移転することを決定し、いすゞのトラックを輸出する際に、三菱は全面的支援を行うことを明らかにしている。

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