女性労働者に対する法的保護が充実

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

女性労働者に対するフィリピンの立法措置は、他のアジア諸国に比較しても多く、女性を法的に保護する効果を上げ始めている。

憲法・共和国法による保護

フィリピンは、憲法により男女の実質的な平等を保障し、また、1979年の国連で可決された女性差別撤廃条約の署名国でもある。

共和国法(RA)6955号(1990年6月30日施行)は、女性労働者に不当な労働条件を強いるような国に、フィリピン女性を派遣することを禁止し、RA7192号(1992年2月12日施行)は、軍隊における女性の地位を強化した。RA7322号(1992年3月30日可決)は、産休中の女性労働者に対する福利厚生を手厚くする方向で可決され、RA7877号(1995年2月14日)は、場所を問わず、セクハラを禁止することを明文化した。また家族法の領域においても、RA8972号(2000年11月7日施行)は、母子家庭に対し保護規定を設けた。

労働法による保護

労働法における女性の保護について見てみると、同法130条から138条は、全て女性労働者の保護のために、設けられた条文である。特に136条は、結婚した場合の強制的な退職を条件とするような労働契約の締結を禁止している。

立法措置による効果

このような法律による保護の下、フィリピン女性の社会的進出は、著しく進んでいる。フィリピン大統領、労働雇用大臣をはじめ、内閣構成員から、最高裁・控訴裁判所における女性の活躍が、最近特に顕著になってきている。

こうした社会においては、女性に対するあらゆる差別は当然許されず、法の解釈や立法措置も女性に有利な形で、進んでいると考えられる。最近では、こうした現状は、男女の実質的平等ではなく、逆差別的な構造をもたらしているという意見もでている。

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