石油・ガス部門の契約社員に関する法律を廃止する方針へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

政府は、2002年4月、石油・ガス部門の雇用期間に関する労働大臣令1999年第5号を廃止する意向を表明した。

同部門の契約社員は、上記の法律によって最長20年まで契約を再更新できるため、正社員雇用として雇用されないということが、各方面から問題視されていた。

労相、同法律を批判

ヤコブ労働・移住相は、同法律に関して「鉱業部門の労働者が将来の期待を持てないような規定であり、労働者の権利という観点からも問題がある」と批判し、プルノモ鉱物エネルギー相とこの法律に関して話し合いを重ねていることを明らかにした。

インドネシアの契約社員に関する法律

インドネシアの場合、労働大臣令1994年第2号により、使用者は2年間の契約を結んだ従業員との再更新は1度のみとなっている。しかし、鉱業部門では、国営企業のペルタミナ社の力が強く、ここ数十年間、同部門の労働者に関しての改革ができなかった。ペルタミナ社の契約社員数は公表されていないが、インドネシア最大のリアウ州にある米系石油会社カルテックス・パシフィック・インドネシア社の場合、2万人の契約社員と6000人の正社員が従事しているとのことだ。現在、インドネシアには43の石油・ガス部門の請負業社があり、ほとんどが外資系企業だという。

数年前に、カルテックス社と米系ヴィコ・インドネシア社の契約社員数千人が数週間に渡り、正社員の地位を求めてデモを行い、新聞報道されて以来、同部門の契約社員の問題は大きな社会問題となっていた。

労働組合もこの動きに賛成の意向

労働活動家パクパハン氏率いるインドネシア福祉労働組合(SBSI)も、ヤコブ労相の意向に賛成であることを明らかにした。同労組で石油・ガス部門の契約社員の権利の向上にむけて様々な活動を行っているアンディ局長は、「多くの石油・ガス部門の労働者と請負業者達は、短期的な契約ベースで採用され、意図的な契約期間の延期を繰り返されることにより、正社員と同等の権利を得られずにいた。この制度によって、同部門の経営者は労働に関するコスト削減を図ることができた。今後は石油・ガス部門だけでなく、その他の産業で雇用されている多くの契約社員の権利も保護していく必要がある」と主張している。ちなみに、SBSIは上記のカルテックス社の大規模デモを率いたとされている。

石油・ガス部門の外資系企業が、大規模な雇用削減を警告

このような中、米系カルテックス社の社長らは、ヤコブ労相が発表した系シャクシャインに関する法律を廃止した場合、契約社員の大量解雇につながると警告した。石油部門では競争が激しく、労働コストの増加は企業にとって重荷になる、と話している。

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