欧州議会の欧州理事会、1976年男女均等待遇指令改正案に合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

欧州議会と欧州理事会は、2002年4月に男女均等待遇指令の内容を拡大する新たな指令案に最終的に合意した。これが欧州議会と欧州理事会により承認されれば、同指令案は採択されることとなる。

指令案の内容

同指令案は欧州委員会により2年前に提案されたもので、欧州司法裁判所による判例などを考慮に入れ男女均等待遇指令を改訂することを目的としている。

指令案は、まず第1にEUレベルで初めてセクシュアル・ハラスメント(以下セクハラとする)の定義を定め、それが性差別にあたることを明確にした。指令案では「セクハラとは、性的な性質を持つあらゆる形態の望まれていない言語的、または非言語的、あるいは物理的行為が人の尊厳を侵害し、特にそれが脅迫的、敵対的、下劣な、屈辱的あるいは不快な環境を作り出す目的でもしくは結果として行われることをいう」と定義されている。第2に、加盟各国は使用者等に対し性差別を予防し、そして職場における男女の均等取扱いを促進するよう奨励する措置をとらねばならない。

これ以外には、直接差別と間接差別の定義規定、被害者への慰謝料や損害賠償の上限撤廃、出産休暇取得後に職場復帰する女性の権利強化、男性の父親休暇取得の権利承認といった項目が設けられている。加えて、加盟各国には機会均等を促進するための独立機関を設置することが義務づけられている。

指令案の国内法への転換期限は3年以内とされた。

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