ACTU、コールセンター産業に関する調査結果を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

ACTUはコールセンター産業で働く労働者の労働条件を調査し、その結果を公表した。ACTUは2000年に同産業に関する労働条件の最低基準を定めた行動基準を公表しており、今回の調査ではこれが十分に遵守されているのか等を調査した。

なお、コールセンターとは電話とパソコンを利用して、全国あるいは外国からの問い合わせ、苦情、販売を受け付ける/電話をかけるオフィスのことである。

調査結果

調査は88カ所のコールセンターで働く約1000名の労働者を対象に実施された。

これによると、全般的には多くのコールセンターが最低労働条件基準を超える水準を提供しているものの、最低労働条件基準を満たしていないセンターもかなりの数に上った。労働者が実施を求めているのは、十分な通話中断時間、最低賃金率の遵守、定期健康診断、労働環境の改善などであった。またほとんどすべての回答者が、最低労働条件基準実施に当たって政府のリーダーシップが必要であると考えていた。以下は、調査結果の概要。

  • 賃金については、回答者の半数が行動基準に示された最低賃金を常に受けていると回答した。一度も最低賃金に達したことはないと答えた者は約2割に及んだ。
  • 回答者の約半数は、電話対応業務以外の業務を行うために1時間当たり5分の通話中断時間を与えられたことはないと答えた。
  • 通話のモニタリングについては、そのデータの利用が公平であると回答したのは15%に過ぎなかった。また56%の労働者はその利用について説明を受けたことがないと答えた。
  • 十分な教育訓練を常に受けていると回答した者は17%に留まった。
  • 安全衛生に関しては、声・耳・目の定期検査を受けている者は少数に留まっている。
  • 使用者が賃金や労働条件を引き下げるためにアウトソーシングを利用していないと回答したのは、半数に過ぎなかった。

ACTUは、この調査結果により同産業の多くの職場が十分な賃金や労働条件を提供していないことが明らかになったとしている。特に請負やテレマーケティング部門、民間企業での労働条件が低い傾向にあった。同時に同じ州や同じグループ企業であっても労働条件にかなりの格差が見られることから、同産業を通じた労働条件規制の必要性が指摘されていた。

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