労働組合員数が僅かに減少

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

2001年1月1日以降、スウェーデンの従業員は67才まで働く法的権利を有することになった。これはほとんどの労働協約に記載されている65才の退職年齢よりも2才遅い。組合側、使用者側双方が労働協約締結権に関するILO第87号条約に反することを理由に、この法律制定に反対する苦情を既にILOに提出している。

この法律制定の理由は、組合や使用者が労働時間や退職年齢に関する労働協約を結ぶのを阻むことではなく、スウェーデンが労働力不足に直面している状況下で熟練した健康な労働者が経済成長に寄与し続けることを奨励することにあるはずである。50年前に女性1人当たり2.3人であった出生率は、現在1.6人に過ぎない。この出生率に変化がなく、また労働生活の延長も導入されなければ(実際の平均退職年齢は60才強である)スウェーデンの経済成長は10年以内に止まってしまうだろう。また教育、医療、老人介護に携わる労働者の不足によって福祉制度全体が損なわれてしまうだろう。

しかしこの問題を法律制定によって解決することは、不可能ではないにしろ極めて困難である。航空会社のパイロットの状況が、次のように立法による統制の非現実性を示している。

航空運行の監督当局であるLuftfartsverketは、健康診断に合格し、かつ副操縦士が60才以下であることを条件にパイロットが65才まで飛ぶことを許可している。スウェーデンで退職年齢を65才まで引き上げるには長い年月を要した。フランスは依然としてこれを許可していないし、米国の運行規則には未だに60才の制限がある。商業航空会社のパイロットには依然として60才を強制退職年齢とする労働協約が適用されている。SAS(スカンジナビア航空)とブリタニア航空はどちらも、安全と経済上の理由から退職年齢引き上げに反対している。航空業界の賃金体系は、キャリアを通じて年齢と共にパイロットの賃金が上昇するようになっている。3分の1の給与で若いパイロットを雇えるのに年老いたパイロットに月額7万5000クローネを払う理由があるだろうか。

現在の航空会社危機で失業中の若い組合員からの圧力を受け、今やパイロット労組も退職年齢引き上げに反対している。是非飛び続けたい高齢のパイロットは、例えばSASを退職したキャプテンを専門に受け入れて来たマンチェスターのTJ航空などの海外の航空会社に就職することが出来る。しかしフランス上空を飛行することは許されず、チャーター便の場合には課題となっている。

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