ハンガリー/資格法:労働組合は規制の強化を要求

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中欧・東欧の記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年6月

2001年12月、ハンガリー政府はハンガリー・ルーマニア共同宣言に調印し、ルーマニアからの入国者はハンガリー国内で3カ月間の就労許可が得られる。共同宣言のこの点を巡って、国内の政治問題としての波乱が生じた。

全国労働審議会に参加している使用者及び労働者双方の利益代表組織は、この共同宣言について討論している。ハンガリーに入国したルーマニア人労働者は、合法的な就労が3カ月間であっても不法就労を続けるだろうというのが両者の見解である。それ故労働組合は、労働規制の強化及び取締り頻度の増加による改善を求めている。これについて使用者団体は、労働規制を厳しくしても法を遵守する使用者の利益を侵害することにはならないとしている。

経済審議会の会合の際、経済省は、2001年に登録された求人数8万1千人に基づいて外国人労働者の月間割当数が決定されるとした。使用者と外国人労働者間の雇用契約において賃金水準が全国平均以下の場合、地方労働局はそのような契約を拒否せねばならないと組合は提案した。更に、失業率が全国平均より20パーセント上回る郡又は職種では、外国人には就労する権利が与えられない。なおドイツの場合と同様に、勧告の中にはハンガリー語の知識を求めるとする提案がある。また労働許可の配分についてはオーストリアの例にならい、労働関係システムにおける社会的パートナーの意見を聞く必要があるだろう。国としては、ハンガリー人の就労人口の割合を考慮して、労働審議会が外国人労働者の受け入れ数を決定しなければならない。

国の法定最低賃金の決定以外にも政府が経済活動に干渉するとして、使用者側は政府の政策を非難した。彼等によれば、拡大しつつある経済の下では労働力人口の増加が求められており、外国人労働者数を制限する必要はない。しかし、首相は政府の計画は政治的理由でなく、経済的合理性に基づいていると述べ討議を終結した。首相は、労働力の需給問題は経済が自ら解決するとしている。この討論は合意を見ずに終わり、政府の一方的な決定により2002年のハンガリーにおける外国人労働者の年間制限数は8万1千人となった。

2002年6月 中・東欧の記事一覧

関連情報