労使関係に関する上級グループが報告書を提出

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

労使関係に関する上級グループは、労使関係の将来に関する報告書を提出した。欧州委員会は2000年6月に社会政策アジェンダを公表しており、その中で労使関係の近代化やソーシャル・パートナーの参加促進といった問題に対処するために同上級グループを設立することを明らかにしていた。

報告書の内容

同報告書は、まず欧州社会が直面している主要な課題を洗い出し、ソーシャルパートナーがこうした課題に取り組まねばならないと指摘している。欧州社会が直面している課題としては、グローバリゼーションやEU拡大、経済・金融面での統合、技術革新、知識経済社会への移行などが挙げられている。

こうした分析に基づき、同報告書はソーシャル・パートナーに対して次のような提言を含む様々な提言を行っている。

  • 欧州労使対話については、EU拡大促進のため、そしてそれ以降の新たな課題に対処するための手段として利用すべきである。
  • ソーシャル・パートナーは、各々の労使関係の特性に適合した調整方法に関する独自の手続を確立すべきである。
  • 労使関係の質の進展を適切に測定する指標を開発すべきである。

このように同報告書は、EUレベルと国内レベルの労使関係の相互連関強化も視野に、労使関係に関する新たなアジェンダの作成を求めている。

こうした提言は、ソーシャル・パートナーの役割に変化を迫ることから、大きな議論を巻き起こす可能性もある。そのため、同報告書の提言等を議論するために加盟各国でセミナーが開催される予定となっている。

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