バルセロナ・サミットの開催

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

欧州理事会(欧州サミット)が2002年3月15日から16日にかけて議長国スペインのバルセロナで開催された。理事会は、欧州雇用戦略の進展を高く評価する一方で、リスボン、ストックホルム両サミットで設定された目標を達成するにはなすべきことが多くあるとして、優先的な課題を示している。

まず欧州理事会は、欧州雇用戦略の見直しを打ち出した。具体的には、ガイドラインの数を削減することで欧州雇用戦略を簡素化し、完全雇用達成の最終期限と調整する、そしてガイドライン実施におけるソーシャル・パートナーの役割と責任を強化するといった方針が示された。また加盟各国に対しては、低賃金労働者の税負担軽減や労働市場への参入を促す税・社会保障制度、早期退職優遇策の縮小といった観点からの雇用政策の改訂が求められている。

次に労働移動については、欧州理事会は欧州委員会による「技能と労働移動に関する行動計画」を歓迎する意向を示し、労働移動に対する障壁の除去や社会保障上の権利の継続性等を目的とした活動を支持した。さらに理事会は、欧州医療保険カードの導入と人の移動に関する情報を一括提供するウェッブ・サイトの立ち上げについても合意した。

社会的統合に関しては、欧州理事会は加盟各国に対し貧困や社会的排除を受ける危険のある人の数を削減するための目標値を設定するよう求めた。

雇用平等について、欧州理事会は女性に対する暴力への取り組みや保育施設数の目標値設定により、これを強化する方針を示している。保育施設に関しては、2010年までに3歳から就学年齢までの児童の9割に対し、そして3歳未満の児童の33%に対し施設を提供することを目標値として設定した。

また2010年までに、平均退職年齢を段階的に5歳程度引き上げることも目標として合意された。

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