カンボジア人労働者の違法就労が急増
2001年10月25日付の登録済み外国人労働者の数は約70万人で、そのうちの6割をミャンマー人が占めている。他にもラオス人とカンボジア人の就労が目立つが、最近はカンボジア人の密入国者と不法就労者が急増している。
国境なき労働者
カンボジアと国境を接する東部サケーヴ県のアランヤプラテートから密入国するカンボジア人が急増している。国際移住機構(IMO)の統計によると、同国境から密入国するカンボジア人は毎年5万から7万人と推計されている。しかし実際には、更に多くの人々が就労目的で密入国していると見られている。
カンボジアの平均年収は約320米ドルで、タイの農村部では8倍、バンコクで20倍の所得格差があるとされている(注1)。
カンボジア女性緊急センター(CWCC)によると、2001年5月から10月の約半年間に1万3988人が密入国で逮捕されたが、この数字は2000年通年の1万1438人、1999年通年の5227人を上回り、急増している。
カンボジア人の多くが経済的理由、職探しの為国境を越え、テキスタイル工場や農業労働者、メイドなどとして就労しているという。またカンボジアとタイの両国にネットワークを持った大きな人身売買組織があると見られ、子供がバンコクで物乞いや花・土産物売り、児童売春婦として働かせられるケースがあるという。
不法就労者の摘発、目標は3万5000人
移民を取り締まる警察局は、2002年5月9日までに雇用登録の延長申請を行わなかった3万5000人の不法就労者摘発を目指して警備を続けている。2月4日には、2月下旬に登録延長手続きを行った不法就労者が2万7581人になったと発表している。その内2万4480人はミャンマー人で、1668人がカンボジア人、1433人がカンボジア人となっている。
注
- バンコクポスト2002年2月25日より。実際にはSocio Economic Survey 1999によると、全国平均で1人当たり年収は約900米ドル、東部に程近い東北部の平均1人当たり年収である600米ドルがこの地での平均所得と考えていただければ適当かと思われる。ちなみに出稼ぎなどでバンコクに就労した場合、バンコクの平均年収は2000米ドルとなっている。しかし、これらの数字はタイ人の所得であるため、出稼ぎ労働者の所得はこれよりも低いと想定される。(本文へ)
2002年5月 タイの記事一覧
- デルタ・エレクトロ二クスの工場事故で明らかとなった生産現場の安全性
- 農村部での所得向上、雇用促進政策
- カンボジア人労働者の違法就労が急増
関連情報
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:掲載年月からさがす > 2002年 > 5月
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:国別にさがす > その他の国 > タイの記事一覧
- 海外労働情報 > 国別基礎情報 > その他の国 > タイ
- 海外労働情報 > 諸外国に関する報告書:国別にさがす > タイ
- 海外労働情報 > 海外リンク:国別にさがす > タイ