EPF配当率、過去37年で最低の5%

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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従業員積立基金(EPF)は3月11日、2001年のEPF配当率を5%と発表した。前年の6%を下回ったばかりか、過去37年間で最低を記録した。

EPFは日本の厚生年金制度に相当するもので、1951年従業員積立基金法に基づき労使双方に掛金拠出を義務づけている。掛金率は従業員の月給を基礎に、現在、従業員が9?11%、使用者が12%となっている。積立金はマレーシア政府債、短期金融市場取引手段、貸付・債券、株式などで運用され、配当率はその運用状況に主に規定される。

2001年の総投資額は1869.5(前年1811.6)億リンギで、投資先の内訳は、マレーシア政府債に683.4億リンギ(36.5%)、株式に425.8億リンギ(22.78%)、貸付・債券に397億リンギ(21.2%)、短期金融市場取引手段に349.7億リンギ(18.7%)、不動産に12.9億リンギ(0.69%)となっている。

これに対する総収入は、105.5(前年112.9)億リンギ。投資先別では、マレーシア政府債が45.7億リンギ(43.31%)、貸付・債券に37.7億リンギ(35.69%)、短期金融市場取引手段が15.3億リンギ(14.53%)、株式が6.34億リンギ(6.01%)、不動産に0.17億リンギ(0.17%)、などとなっている。

総収入112.9億リンギから、基金運営費などを差し引いたあとの純収入は90.1億リンギで、前年の101.8億リンギを下回った。この純収入90.1億リンギが加入者107万4459人に支払われる。

2001年の配当率が過去37年間で最低になった要因に関して、EPF理事会は厳しい経済環境とそれによる低金利と低株価を挙げている。

マレーシア労働組合会議(MTUC)は、5%の配当率が予告された段階でEPFに再考を求める声明を出していたが、予告通りの低配当になったことで、今後EPFの投資計画や運営能力を厳しく追及していくことになりそうだ。

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